八海「えっ?」
(拍手)
八海「ミワさん…?」
ミワ「まさか お二人のバトルを 生で見られるとは思っていなかったので。」
八海「え?」
ミワ「これ!」
八海「『コーヒー&ブルース』。」
ミワ「あ… こっちです。 『八海&シラーの大激論』! 覚えてますか?」
八海「いや…。」
シラー「全然。」
ミワ「この時も お二人がやりたいことをぶつけ合って つかみ合いのケンカしながら 作られたのが 『コーヒー&ブルース』。」
八海「そんなこともありましたか。」
シラー「ん…。」
ミワ「あ… すいません。 また新しい映画が生まれる瞬間に 自分が立ち会ってるのかと思ったら 一人で舞い上がってしまって…。」
八海「いや 見苦しいところをお見せしました。 すみませんでした。」
シラー「Sorryy about that.」
ミワ「いいんです。 ぶつかり合ってこそ 名作が生まれるんだと思います。 では ケンカの続き お願いします!」
八海「ミワさん…。」
シラー「驚いた。 こんな昔のものを覚えてるなんて 君は一体 何者なんだ?」
ミワ「いや あの 私は…。」
八海「彼女は 家政婦のミワさんです。」
シラー「Your housekeeper?」
八海「Yes.」
道中
<風が吹いている。 あの日も 風が吹いていた>
回想
八海「風が… 吹いてますね。」
回想終了
<あの日 私は考えていた。 彼の時間が いかに貴重であるか。 常に分刻みで組まれるスケジュール。 私との時間を 八海サマは どう思っているんだろう>
八海「ミワさん。」
ミワ「はい。」
八海「楽しかったです。」
ミワ「そんな… 私なんか ただの家政婦ですし…。」
八海「楽しいと感じることは 私にとって とても重要なんです。 気持ちが動かなくなれば 俳優は死にますから。」
<私が 八海サマの気持ちを動かした?>
八海「それと ミワさん。」
ミワ「はい。」
八海「ミワさんは 私にとって ただの家政婦さんじゃありません。 掛けがえのない人です。」