夜ドラ「ミワさんなりすます」(第12回)

八海「えっ?」

(拍手)

八海「ミワさん…?」

ミワ「まさか お二人のバトルを 生で見られるとは思っていなかったので。」

八海「え?」

ミワ「これ!」

八海「『コーヒー&ブルース』。」

ミワ「あ… こっちです。 『八海&シラーの大激論』! 覚えてますか?」

八海「いや…。」

シラー「全然。」

ミワ「この時も お二人がやりたいことをぶつけ合って つかみ合いのケンカしながら 作られたのが 『コーヒー&ブルース』。」

八海「そんなこともありましたか。」

シラー「ん…。」

ミワ「あ… すいません。 また新しい映画が生まれる瞬間に 自分が立ち会ってるのかと思ったら 一人で舞い上がってしまって…。」

八海「いや 見苦しいところをお見せしました。 すみませんでした。」

シラー「Sorryy about that.」

ミワ「いいんです。 ぶつかり合ってこそ 名作が生まれるんだと思います。 では ケンカの続き お願いします!」

八海「ミワさん…。」

シラー「驚いた。 こんな昔のものを覚えてるなんて 君は一体 何者なんだ?」

ミワ「いや あの 私は…。」

八海「彼女は 家政婦のミワさんです。」

シラー「Your housekeeper?」

八海「Yes.」

道中

<風が吹いている。 あの日も 風が吹いていた>

回想

八海「風が… 吹いてますね。」

回想終了

<あの日 私は考えていた。 彼の時間が いかに貴重であるか。 常に分刻みで組まれるスケジュール。 私との時間を 八海サマは どう思っているんだろう>

八海「ミワさん。」

ミワ「はい。」

八海「楽しかったです。」

ミワ「そんな… 私なんか ただの家政婦ですし…。」

八海「楽しいと感じることは 私にとって とても重要なんです。 気持ちが動かなくなれば 俳優は死にますから。」

<私が 八海サマの気持ちを動かした?>

八海「それと ミワさん。」

ミワ「はい。」

八海「ミワさんは 私にとって ただの家政婦さんじゃありません。 掛けがえのない人です。」

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