八海「先日は ありがとうございました。 母も安心して 天国に旅立ったと思います。」
ミワ「はい。」
八海「ミワさん 家政婦を辞めると聞きました。」
ミワ「…はい。 長い間 本当にお世話になりました。」
八海「ここにあるものは 処分しようと思うんですが 記念に何か持っていきませんか？」
ミワ「えっ…。」
＜台本に プレミアグッズの数々…。 まさに 宝の山＞
ミワ「いえ 大丈夫です。」
八海「…そうですか。」
ミワ「私が今 欲しいのは 過去のものじゃなくて これから八海さんが出演する 新作映画なんです。 どうか 引退は考え直して頂けないでしょうか。」
八海「ミワさんは以前 私の出演作の中では シラー監督の作品が好みだと おっしゃいましたよね。」
ミワ「はい。 私の中で殿堂入りです。」
八海「先日 母も好きだと言ったのは意外でした。 決して 分かりやすい映画ではないですから。」
ミワ「分かりやすい映画じゃないけど とにかく 心に残るんです。」
八海「アメリカに渡った頃の気持ちを思い出して 原点に返れば また演じる喜びが味わえるかもしれない。 そう思えるようになったのは ミワさんのおかげです。」
ミワ「えっ？」
八海「シラー監督のオファーを 受けようと思います。」
ミワ「えっ…。 よかった… よかったです。 やった！」
八海「（笑い声）」
