夜ドラ「ミワさんなりすます」(第3回)

藤浦「どうしてくれるの? 八海にとってボトルシップは ただの趣味じゃないのよ。」

ミワ「はい。」

藤浦「あれは 役作りに没頭するための 大事なルーティーンなの。」

ミワ「申し訳ありません。」

藤浦「これから八海と話し合うけど それなりの覚悟をしておいて下さいね。」

ミワ「…はい。」

藤浦「じゃあ 八海のところへ行きますよ。」

<もはや 死にたいとすら思わない>

ミワ「死のう…。」

<29年の人生で分かったことは 一度の失敗で 全てが終わってしますということだ。 人知れず いくら奮闘努力を重ねても 顔で笑って 腹で泣き どんな理不尽に耐えようとも 一度失敗すれば水の泡 世の中は そういうふうにできている>

(ノック)

リビング

藤浦「失礼します。」

ミワ「この度は まことに申し訳ございませんでした。」

藤浦「彼女の処分はどうしましょうか。」

八海「えっ… いいですよ 別に。」

藤浦「えっ!? 今回のことについては 不問に付すということですか?」

八海「だって 事故でしょ。 しかたないですよ。 ミワさん 気にしないで下さい。 また作ればいいんですから。」

ミワ「はい…。」

<八海 崇の笑顔は 全てを包み込む優しさがあった>

<いろいろ あった>

ミワ宅

ミワ「うわあ! かっこいい~!」

(荒い息遣い)

ミワ「あの真剣なまなざし。 優しく甘い声。」

回想

八海「よろしくお願いします。」

回想終了

ミワ「繊細な手先 洗練された所作。 もはや この世のものとは思えない まさに… 神!」

(荒い息遣い)

<映画で その破壊力は 十分 知っていたはずなのに リアルの彼は それを優に超えてくるなんて…>

八海「ミワさんも一緒に この船に乗りませんか?」

<私もいっそ このボトルに閉じ込められたい…>

ミワ「うわあ~! (笑い声)」

(壁を蹴る音)

隣人『静かにしてもらえませんか。』

ミワ「すいません。」

(おなかの鳴る音)

ミワ「おなかすいた。」

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