居間
富士子「はい お待たせ。」
なつ「ジャガイモ?」
富士子「そう。 子どもの頃 食べた記憶がある。 お母さんが考えたのよね?」
照男「ばあちゃんが?」
富士子「そうだよ~。 お芋に このバター載っけて食べると おいしいよ~って おばあちゃんのうれしそうだった顔 思い出す…。 これ 好きだったのよね。 若くして死んじゃったけど。 さあ 召し上がれ! なしたの?」
剛男「これで死んじゃったの…?」
泰樹「バカモン! バターは 体にいいんじゃ!」
剛男「は… はい! 頂きます!」
悠吉「頂きます。」
なつ「頂きます!」
照男「頂きます。」
剛男「ん~… 何だ これは! うまい!」
悠吉「うまいべさ。」
なつ「おいしい!」
富士子「でしょ~?」
菊助「牛乳の香りも ちゃんとするなあ。」
富士子「夕見子も 熱いうちに食べてみなよ。 このバターが溶けてるとこが おいしんだから。」
夕見子「いらない いらない!」
なつ「おいしいってば。」
夕見子「いらないってば。」
泰樹「いいから食べてみなさい 夕見子。」
なつ「どう?」
富士子「うまいしょ?」
なつ「やった! 夕見子ちゃんが 牛乳食べられた!」
剛男「いかったな 夕見子。」
夕見子「バターでしょ? 牛乳じゃないもん。」
剛男「え~?」
一同「ハハハ…。」
雪月
雪之助「載せるぞ~。 はい 載せたぞ~。 バター。」
とよ「バター載せんのかい。」
雪之助「よ~し 蜜かけるぞ~ 蜜。」
とよ 雪次郎 妙子「おお~…!」
雪之助「全部かけたいか お前ら…。」
雪次郎「わ~い!」
雪之助「はい はい~ お待たせいたしました!」
夕見子「これが ホットケーキ?」
雪之助「うん そうだよね? なっちゃん。 僕もね 東京で食べたことあるんだわ。」
なつ「東京にいたんですか?」
雪之助「うん 戦争前にね 修業に行ってたんだ。 さあ 召し上がれ。」
一同「頂きま~す!」
泰樹「こんなもの よく作れたな。」
雪之助「小麦粉をひいた時に残った カスみたいな ふすまという粉を使って ビートを煮詰めて作った蜜 かけてみました。」
泰樹「おっ これは うまい!」
なつ「おいしい!」
富士子「おいしいわねえ。」
雪次郎「夕見子ちゃんは?」
夕見子「うちのバター使ってんだから おいしいのは当然よ。」
照男「夕見子 お前 バターは自慢すんのか。」
富士子「うちのバター使うと こんなおいしいもんが出来るんですね。」
雪之助「はい そのとおりです。」
とよ「本当に 恩着せがましいんだから 家族して ハハハ…。」