連続テレビ小説「なつぞら」第10話「なつよ、夢の扉を開け」【第2週】

居間

富士子「はい お待たせ。」

なつ「ジャガイモ?」

富士子「そう。 子どもの頃 食べた記憶がある。 お母さんが考えたのよね?」

照男「ばあちゃんが?」

富士子「そうだよ~。 お芋に このバター載っけて食べると おいしいよ~って おばあちゃんのうれしそうだった顔 思い出す…。 これ 好きだったのよね。 若くして死んじゃったけど。 さあ 召し上がれ! なしたの?」

剛男「これで死んじゃったの…?」

泰樹「バカモン! バターは 体にいいんじゃ!」

剛男「は… はい! 頂きます!」

悠吉「頂きます。」

なつ「頂きます!」

照男「頂きます。」

剛男「ん~… 何だ これは! うまい!」

悠吉「うまいべさ。」

なつ「おいしい!」

富士子「でしょ~?」

菊助「牛乳の香りも ちゃんとするなあ。」

富士子「夕見子も 熱いうちに食べてみなよ。 このバターが溶けてるとこが おいしんだから。」

夕見子「いらない いらない!」

なつ「おいしいってば。」

夕見子「いらないってば。」

泰樹「いいから食べてみなさい 夕見子。」

なつ「どう?」

富士子「うまいしょ?」

なつ「やった! 夕見子ちゃんが 牛乳食べられた!」

剛男「いかったな 夕見子。」

夕見子「バターでしょ? 牛乳じゃないもん。」

剛男「え~?」

一同「ハハハ…。」

雪月

雪之助「載せるぞ~。 はい 載せたぞ~。 バター。」

とよ「バター載せんのかい。」

雪之助「よ~し 蜜かけるぞ~ 蜜。」

とよ 雪次郎 妙子「おお~…!」

雪之助「全部かけたいか お前ら…。」

雪次郎「わ~い!」

雪之助「はい はい~ お待たせいたしました!」

夕見子「これが ホットケーキ?」

雪之助「うん そうだよね? なっちゃん。 僕もね 東京で食べたことあるんだわ。」

なつ「東京にいたんですか?」

雪之助「うん 戦争前にね 修業に行ってたんだ。 さあ 召し上がれ。」

一同「頂きま~す!」

泰樹「こんなもの よく作れたな。」

雪之助「小麦粉をひいた時に残った カスみたいな ふすまという粉を使って ビートを煮詰めて作った蜜 かけてみました。」

泰樹「おっ これは うまい!」

なつ「おいしい!」

富士子「おいしいわねえ。」

雪次郎「夕見子ちゃんは?」

夕見子「うちのバター使ってんだから おいしいのは当然よ。」

照男「夕見子 お前 バターは自慢すんのか。」

富士子「うちのバター使うと こんなおいしいもんが出来るんですね。」

雪之助「はい そのとおりです。」

とよ「本当に 恩着せがましいんだから 家族して ハハハ…。」

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