連続テレビ小説「なつぞら」第112話「なつよ、開拓者の郷へ」【第19週】

剛男「そだな。」

夕見子「ヨーロッパの視察旅行から戻って たった3か月で ここまで来たんだもん。 組合長の行動力には 私も いっつも たまげてるわ。」

泰樹「あれは 根っからの開拓者だ。」

夕見子「あ… なつ 組合長が なつに話があるって。」

なつ「えっ 話?」

夕見子「うん。」

病院

(ノック)

夕見子「失礼します。」

田辺「やあ なつさん 坂場君も」

夕見子「連れてきましたよ。」

田辺「わざわざ こんな所へ ごめんね。」

なつ「いえ お加減はいかがですか?」

夕見子「ダメじゃないですか。 これじゃ ちっとも よくならないでしょや。」

田辺「もう大丈夫だって。 これから 工場建設に向けて やっと具体的に忙しくなっていくんだ。 休んでる方が 死にそうになるべや。」

なつ「フフ… それで 私に話というのは?」

田辺「ああ… まあ 座ってくれや。 実はね 工場の会社名は 十勝共同乳業でいいと思うが ブランド名が必要になる。」

なつ「ブランド名?」

田辺「十勝共同乳業バターじゃ 堅苦しいべや。」

なつ「あ… バターの名前ですか?」

田辺「そうだ。」

夕見子「たんぽぽ。」

なつ「タンポポ?」

夕見子「うん。 平仮名で たんぽぽ。」

なつ「たんぽぽバター?」

夕見子「うん。」

田辺「タンポポが咲いて カッコウが鳴いたら 我々 十勝の農民は 種まきの季節になったことを知る。」

坂場「それは 気候の変化を知らせるからですか?」

田辺「我々が新しい種をまく時を知らせ 本当に春が来たことを 実感させてくれる花 それが タンポポだ。 ぴったりだべさ。 その名前を考えたのは 柴田さんだよ。」

なつ「えっ 父さんが?」

田辺「うん。 なつさんは そういう季節に この十勝にやって来たそうだね。」

なつ「はい。」

田辺「柴田さんは 子どものなつさんが タンポポを食べたって話を 懐かしそうに話してくれたわ。 覚えてるかい?」

なつ「覚えてます… 十勝に来てからのことは 一つも忘れないんです。」

田辺「そうか。 して なつさん なつさんには その商標を考えてもらいたいんだ。」

なつ「しょうひょう?」

夕見子「マークさ マーク。 雪の結晶とか 晩成社のマルに成の字とか バターを作る会社に マークがついてるべさ。」

なつ「ああ! えっ… そのたんぽぽバターのマークを 私が考えていんですか!? そんな大事なものを!」

田辺「なつさんは プロの絵描きだべさ。 それに たんぽぽバターは なつさんのふるさと そのものになるっしょ。」

なつ「はい。」

坂場「君の発想力なら きっと いいものが描けると思うよ。」

なつ「イッキュウさんに そう言われると 挑戦したくなるわ。」

夕見子「いんでないかい。 ダメだったら採用しないだけだから。」

なつ「夕見にそう言われると やる気が出るわ。 はい 分かりました! 喜んで やらせてもらいます! ありがとうございます!」

田辺「こちらこそだわ。 なつさん よろしく頼むよ。」

なつ「はい。」

雪月

雪次郎「俺のバター…。 おバター…。 おバタ雪次郎…。 ハハハハハハ…。 ハハハ… 天才だ。」

<ふざけているわけではありません。 そのころ ここ雪月でも 新しい挑戦が着々と進んでいたのです。>

妙子「ありがとうございました。 あっ。」

3人「こんにちは。」

妙子「いらっしゃい。」

なつ「えっ なして みんないるの?」

天陽「雪次郎に呼ばれたんだよ。」

なつ「みんなも?」

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