連続テレビ小説「なつぞら」第130話「なつよ、優しいわが子よ」【第22週】

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

なつ「やっぱり 子どもたちに 会いに行きましょう!」

宮田「会いに行って どうするの?」

なつ「素顔を明かして 負けたことを子どもたちに謝るんです。」

堀内「それで 子どもたちは?」

なつ「子どもたちは キックジャガーに 泣きながら こう言うんですよ。 もういいよ もう戦わなくていいよって。 そこで キックジャガーも 初めて涙を流せるんです。」

佐藤「『もういいよ もう戦わなくていい』か…。 いいね! 泣けるね!」

なつ「でも 戦うんです。」

佐藤「えっ?」

なつ「キックジャガーは その言葉を聞いて もう一度 リングに向かう決意をするんですよ。 今度は 素顔のまま 中神拳矢として 一人の正統派キックボクサーとして もう一度 リングに復活するんです! それが この物語のラストカットです。」

宮田「いい! それ いいよ!」

堀内「敗者の美学だ!」

佐藤「すばらしい! それでいこう!」

なつ「はい!」

テレビ

♬~(『キックジャガー』のテーマ曲)

実況『さあ 何をする気だ? キックジャガー。 おっ マスクに手をかけた! どういうことだ!? 会場から悲鳴が上がる! なんと マスクを脱ぎ捨てた!』。

子どもたち『拳矢にいちゃんだ! 拳矢にいちゃん!』。

キックジャガー『子どもたちよ 見ろ。 俺は 戦うことをやめない』。

子どもたち『頑張れ!』。

(ゴング)

キックジャガー『マスクを捨てて 正々堂々と 君たちに戦う姿を見せる!』。

<こうして完成した『キックジャガー』は お茶の間に 大きな感動を呼びました。」

下山家

リビング

明子「優ちゃん 今日 ママ 具合が悪いの。 言うこと聞いてちょうだい。 それは まだ ダメ! あ~! ママ~!」

茜「うん? どうしたの?」

明子「優ちゃんが蹴った!」

茜「あ…。 優ちゃん 蹴っちゃダメじゃないの!」

明子「もう 優ちゃんとは 一緒に遊ばない。 ママ 一緒に遊ぼう。」

茜「あ… もう 2人とも困ったな…。 あのね ママ 今日は 本当に ちょっと具合が悪いのよ…。」

(チャイム)

茜「あっ ほら 優ちゃんのママ帰ってきた。 ほら 玄関行こう。 あ~ もう ちょっと2人とも… どうぞ!」

なつ「遅くなって ごめんなさい。」

優「ママ お帰り。」

なつ「優 ただいま。」

茜「ああ よかった…。 ちょっと ごめんなさい…。」

明子「ママ 大丈夫!?」

なつ「明ちゃん 大丈夫よ…。」

坂場家

リビング

坂場「2人目?」

なつ「そう。 今日 病院に行って はっきり分かったんだって。」

坂場「ああ… そうか。 いや 下山さんは子ども好きだから 喜ぶだろうな。」

なつ「うん。 おめでたいよね。」

坂場「ああ。 だけど 優は もう預けられなくなるか…。」

なつ「うん… 茜さんは 今3か月だから 来年の春までは大丈夫だって 言ってくれてるけど…。 今でも つわりは つらそうだから。」

坂場「うん…。 また考えないとな。」

なつ「まあ やっと 『キックジャガー』が終わったから 次は なるべく早く帰れるように 作画監督の仕事は やめるようにする。」

坂場「うん… まあ それでも 誰も当てにしないってわけには いかないだろ 仕事を続ける以上は。」

<そして 数日後。>

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