玄関
下山「はいは~い。 ああ。」
なつ「すいません。」
下山「どうぞ どうぞ。」
リビング
なつ「優…。」
茜「ごめんなさいね どうしても泣きやまなくて…。」
坂場「こちらこそ ご迷惑をおかけしました。」
茜「いや…。」
下山「朝まで待とうって言ったんだけどね。」
なつ「茜さん ありがとうございます。 本当 すいません。」
茜「優ちゃん ママに会えてよかったね。 じゃあ またね。」
なつ「さあ 優 帰ろう。」
坂場「すいません…。」
道中
<その日の夜を その時の優のぬくもりを なつは 一生 忘れることはないでしょう。>
東洋動画スタジオ
社長室
なつ「えっ… また作画監督を?」
佐藤「そう。 ここは また 君しかいない そう思ってね。」
なつ「あの ちょっと待って下さい。 次は 作画監督ではなく いち原画に 戻りたいと思っているんですが…。」
山川「どうして? せっかく実績を上げたところなのに。」
なつ「子どもが まだ保育園で 6時以降は 人に預かってもらわなければ 働けないんです。 それで できるなら 6時に子どもを 迎えに行ける仕事にしたいと…。」
山川「今更 そんなこと言われても困るよ。 こっちは当てにしてるんだから 君の力を。 必要としてるんですよ。」
佐藤「そう。 君のように 原作のイメージを崩さずに 原作以上に キャラクターを かっこよく描けるアニメーター そういないからね。」
なつ「また 漫画原作なんですか?」
佐藤「そう。 これだ。」
なつ「『魔界の番長』?」
佐藤「そう。 魔界からやって来た魔物に 体を乗っ取られた番長の話だ。」
なつ「番長…。」
佐藤「この番長が 純情な男でね。 いちずに片思いをしている 女の子がいるんだが この番長に取りついた魔物が その女の子を好きなってしまうんだよ。 人間の敵なのに 人間を好きになる それが また番長を苦しめる。 それで 魔界の魔王を裏切るわけだ。 その度に 番長は魔人に変身して 人間を守るために戦うんだよ。」