山田家
馬小屋
<しかし 8月に入ると 天陽君は また体調を崩し 帯広の病院に入院しました。>
病院
陽平「天陽。」
天陽「おっ 兄ちゃん。 もう東京に帰るのか?」
陽平「うん。 夏休みが終わるからな。 起きてて大丈夫なのか?」
天陽「うん。 今月中に カレンダーの仕事を 仕上げなくちゃいけないからな。」
陽平「いい絵だな。」
天陽「そう?」
陽平「馬小屋にあった 描きかけの馬の絵もいいけど 俺は お前の風景画も好きだな。」
天陽「つまらない背景画みたいだろ?」
陽平「おい それは 俺に対する当てつけかよ。」
天陽「違うよ。 風景画を描く時は いつも兄ちゃんのことを思い出すからさ。 アニメーションの背景なら こういうとこに 昔のなっちゃんを歩かせたりして…。」
回想
なつ「天陽君!」
回想終了
天陽「そしたら面白いだろうなとか…。」
陽平「なっちゃんか…。」
天陽「元気してる?」
陽平「うん。 お前に会いたがってたよ。」
天陽「なっちゃんも 俺も 会えなくたって 絵を描いていれば それで十分なのさ…。」
東洋動画スタジオ
テレビ班 作画室
<なつは まだ 優と約束した夏休みを 取ることができないでいました。>
道中
天陽「(せき)」
山田家
居間
タミ「え…。」
天陽「ただいま。」
タミ「天陽!?」
靖枝「陽ちゃん! どうしたの?」
道夫「父ちゃん!」
彩子「父ちゃん!」
天陽「道夫 彩子 元気にしてたか? ただいま。」
道夫「お帰んなさい。」
彩子「お帰んなさい。」
正治「お前 退院したのか? なして連絡しないんだ。」
天陽「退院は来週だよ。」
正治「えっ?」
天陽「来週 退院していいって さっき 先生に言われたんだ。」
正治「え… それで なして 今いんだ?」
天陽「うん… 退院が決まって 居ても立っても居られなくてなってさ 早く アトリエの絵を描きたくて 抜けてきた。」