神地「なっちゃん 俺もやめるわ。」
なつ「うん いいよ。 別に 無理して見てくれなくても。」
神地「ここを辞めるって言ったんだよ。」
なつ「えっ?」
神地「映画は もうダメだ。」
なつ「えっ でも 今やってる夏休み映画は 当たってるんでしょ?」
神地「それは 映画が当たってるわけじゃないよ。 東洋まんがカーニバルとして テレビ漫画と一緒に 長編映画を劇場にかけてるだけだろ。 子どもの目当ては 一緒にやってるテレビ漫画の方だよ。 会社も そっちにばかり 力を入れてるしな。 俺も とうとう テレビに行かされそうなんだ。」
なつ「テレビは やりたくないの?」
神地「どうせ テレビをやるなら 下山さんや イッキュウさんの いるところでやりたい!」
なつ「マコプロで!?」
神地「うん。 移ることにしたよ。」
なつ「そんな!」
神地「是非 来てほしいって マコさんも。」
回想
麻子「いいわよ。 いらっしゃい! 是非いらっしゃい。 フフフフフ…。」
下山「ハハハハハハハ…。」
麻子「フフフフ…。」
回想終了
なつ「モモッチに続いて 神っちまで…。」
神地「でもね 俺は いつか また映画を作りたい。 世界中の人が あっと驚くような 日本のアニメーション映画を作りたい。 そのために 独身を貫いて 仕事に 身をささげてきたんだからな。」
なつ「分かった。 神っちなら そのうち きっと… いい人が現れるわよ!」
神地「バカ そこを慰めて どうすんだよ!」
なつ「えっ?」
(笑い声)
坂場家
リビング
なつ「マコさんは 魔界の魔王だわ。 東洋動画を破滅させる気じゃないの?」
坂場「そうかもね。」
なつ「あなたも 魔王の手先でしょ。」
坂場「だけど そう簡単に破滅はしないよ 東洋動画は。」
なつ「破滅してたまるもんですか。」
坂場「君も いっそのこと 魔王に 魂を売ったらどうだ?」
なつ「魂を?」
坂場「実は今 ちょっと考えてる企画があってね。」
なつ「『大草原の小さな家』?」
坂場「アメリカ西部の開拓時代の話だ。 開拓者の家族がいて その家の小さな娘の視点で描かれてる。」
なつ「開拓者の話?」
坂場「リアルな日常を描くような話を アニメーションで表現したいと思ってる。 しかし それをやるには 君の力が必要だとも思ってるんだ。」
なつ「私にも マコプロに移れって言うの?」
坂場「一緒に やってみないか?」
なつ「面白そうだけど… 私は 東洋動画を辞めるわけにはいかないわ。 私だけは 仲さんたちを 裏切ってはいけないと思う。」
坂場「気持ちは分かるけど…。」
なつ「それに もし 辞めるとしたら… アニメーターかも。 今は 少しでも 優のそばにいてあげたいから…。」
坂場「そんなに やる気を失ってるのか。」
なつ「東洋動画を辞めるとしたらってことよ。」
坂場「まあ その本は置いとくから 暇があれば読んでみればいいよ。」
なつ「うん…。」
坂場「うん。」
<そのころ 十勝では 天陽君が退院をして また絵を描いていました。>