連続テレビ小説「なつぞら」第136話「なつよ、天陽くんにさよならを」【第23週】

雪之助「天陽君は 子どもの頃の思いを ず~っと大切にしてたんだね。 それは なっちゃんも おんなじだべ?」

とよ「ほれ あんた… これを。」

とよ「なっちゃん 残された者は つらいけどさ その分 強くもなれるべさ。 ならないば 先に逝った者に恥ずかしいからね。 大切な思い出に 恥ずかしくないように生きないば。」

なつ「はい… とよばあちゃん。」

雪之助「なっちゃん これ 東京への土産に持ってって。」

なつ「え…。」

妙子「はい。 東京のなっちゃんさ。」

なつ「ありがとうございます…。」

柴田家

台所

なつ「ただいま。」

優「ただいま。」

富士子「お帰り。」

砂良「お帰り。」

夕見子「よいしょ。」

富士子「あっ あんたも来たの。」

夕見子「うん。 なつと優を 車で送ってきたの。」

なつ「あっ 弥市郎さん。」

弥市郎「おお…。」

居間

弥市郎「天陽の人生には 長いも短いもない…。 そこにあるだけだ。 天陽の人生は ただ そこにある。 それは なんと美しいことか…。 あいつは あいつの作品そのものになったんだ。 俺は 羨ましいとさえ思う。 俺は… 天陽になり損ねて 生きてるだけだ。」

剛男「そうかもしれませんね。」

弥市郎「あ?」

剛男「あ いや… 弥市郎さんのことではなくて 天陽君は 家族にとって いや その作品のように 永遠に生き続けるものだと教えたくて 病院を抜け出して 家に 帰ってきたのかもしれないなと思って…。」

富士子「それでも やっぱり悲しいわよ 家族は…。」

照男「悲しいのは当たり前だべ。 天陽も それは よく分かってたんだ。 したから 最後に会いたかったんだべさ。」

砂良「悲しみが大きい分だけ 家族には 大きな幸せも残るんでないかい。」

地平「死に方まで かっこいいもな 山田天陽は。」

照男「お前 そう軽々しく言うな。」

地平「軽々しくなんか言ってねえわ。」

砂良「あんたのラブレター熊に つきあってくれた時の 天陽君も かっこよかったもね。」

照男「その話はするな。」

泰樹「なつ…。」

なつ「うん?」

泰樹「お前は大丈夫なのか?」

なつ「うん… 大丈夫。 じいちゃん… やっぱり 天陽君は すごいわ。」

泰樹「うん。」

なつ「こうして 今でも みんなの中に生きてる。 きっと… それが答えだね 天陽君の。」

泰樹「うん。」

子供部屋

なつ『あるものといっては 風の吹くままに 明るくなったり かげったりしながら 波うつ草ばかりの とめどなくつづく広い大草原と その上に広がる大きな大きな青い空と 草原から飛び立ち のぼっていく太陽に よろこびの歌を うたっている鳥たちだけでした。 これだけ広い土地と空のなかに 小さな幌馬車が ぽつんと ひとつ立っているのです。 そして…』。

なつ<『父さんと母さん メアリィとローラとキャリーがすわり…』>

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