レイ『うん。 う~ん う~ん う~ん…。 はあ…。』
父さん『いいか レイ こやって 数を数えるように 上から指を折るようにして搾ってみろ。』
レイ『うん 分かった。 あっ 出た!』
父さん「できたじゃないか!」
レイ『やった!』。
ソラ『レイ できたの?』。
キク『どれどれ』。
レイ『ほら!』。
(搾乳する音)
ソラ『すごい! レイ できたじゃない!』
キク『うまいもんだな。 どうだ 坊主 うちで働くかい?』
ソラ『ダメよ。 レイは 私たちと一緒に 自分の牧場を作るんだから!』
キク『え~。』
ソラ『ね レイ』。
千夏「私も 乳搾りやってみたいな…。」
坂場家
リビング
なつ「優 どうだった?」
坂場「楽しかったか?」
優「うん。 優ちゃんも乳搾りしてみたい!」
なつ「じゃ 今度 北海道に帰ったら教えてあげる。」
優「うん。」
坂場「千遥ちゃんも きっと見てくれてるだろうな。」
なつ「うん… きっと。 千夏ちゃんと一緒に。」
坂場「北海道には知らせたんだろ?」
なつ「うん 千遥に会ったことだけは…。 明美ちゃんからも話してくれてた。」
坂場「君は 安心できたの?」
なつ「うん… どうして料理人になったのかは 分からないけど 千遥は 立派な料理人だった。 あの店で 誇りを持って 料理していることだけは よく分かった。 まあ それだけで 私は安心できた。」
坂場「うん。」
マコプロダクション
作画室
<それからも なつは 『大草原の少女ソラ』の制作に 追われていました。 手が回らない原画は 外注に出し 戻ってきた原画を イッキュウさんと 手分けして チェックしていきました。>
坂場「ちょっといいですか?」
なつ「はい。」
坂場「これ 母さんが 卵を割って焼くシーンですが 描き直してもらえますか? 卵が おいしそうに見えないんです。」
なつ「なるほど…。」
麻子「ちょっと待って! 外注先の原画を そこまで こだわって直してたら 本当に 身が持たないわよ。」
なつ「だけど 確かに おいしそうに見えないですよ これは。」
麻子「でも 多少の妥協をしていかないと もう間に合わないのよ。」
なつ「だけど これは 開拓者にとって やっと手に入れた鶏が 初めて産んだ卵なんです。 ソラとレイも どれほど この卵を楽しみに待っていたことか。 それを お母さんが料理するところを見る そこは 大事なとこだと思うんです。」
坂場「そのとおりです。」
麻子「卵よ? 難しいわよ!」