なつ「イッキュウさん。」
坂場「うん?」
なつ「この絵コンテだけど 星を見ながら話すのはいいけど やっぱり 最後は夜明けにしない?」
坂場「夜明け?」
なつ「そう。 話し終えた2人に 朝日が昇ってくるの。 牛飼いの生活は 太陽と共にあるでしょ。 その始まりを示す朝日の中でなら 父さんと レイの別れる決心も もっと 希望に満ちたものになると思う。 私も 朝日に 励まされたことがあったから。」
神地「開拓者を励ます朝日か… いいと思う!」
坂場「それなら もっと 風の丘であることも生かせるな。 風と光で 夜明けのにおいを出そう。」
麻子「ちょっと 変えるなら すぐに動いてよ。 もう時間ないんだから。」
坂場「分かりました。 陽平さん!」
神地「モモッチ!」
陽平「どうしたの?」
坂場「このシーンなんですが 最後は 夜明けにしたいんです。」
陽平「夜明け? なるほど…。 僕も 昔は天陽たちと一緒に開墾してて 十勝の夜明けは 何度も見てるよ。」
坂場「風と光で それを表現したいんです。」
なつ「陽平さんの中にある夜明けを 是非 描いて下さい。」
陽平「分かった。 描いてみるよ。」
桃代「私は?」
神地「光が出れば 人物に影も出るだろ。」
桃代「うん。」
神地「夜明けらしい影の色を 陽平さんと相談して 勉強しといた方がいいよ。」
桃代「なるほど。 ありがとう 神っち。」
神地「モモッチには 才能があるんだから。」
桃代「神っちに そんなこと言われると うれしい。」
茜「忙しいのに 何か いい感じね。」
麻子「あ~ これで あの何枚 増えることやら。」
坂場家
玄関
なつ「ただいま。」
寝室
なつ「ただいま…。」
リビング
富士子「これ 千遥ちゃんが持ってきてくれたの。」
なつ「えっ 千遥が来たの?」
富士子「うん。 わざわざ 入学のお祝いにって 持ってきてくれたわ。」
なつ「おいしそう。」
富士子「本当に おいしかったわ。 食べるかい?」
なつ「うん。 うれしい…。 これから仕事するから その前に。」
富士子「体 壊すよ。 というより 壊さない方が不思議だわ。」
なつ「ハハ… じいちゃんにも届けたいしょ。」
富士子「えっ?」
なつ「じいちゃんも見てくれてるんでしょ? したら じいちゃんに少しでも 元気になってもらいたいのさ。」
富士子「なつ…。」
なつ「うん?」
富士子「心配してるんだね。」
なつ「じいちゃんだけでなく じいちゃんのような開拓者の人に 恥ずかしくないものを 見せたいんだわ。 私にできる恩返しは それだけだから…。 頂きます。 ん~!」
マコプロダクション
作画室
<なつたちは ロケハンで出会った 十勝に人々や 風景を思い出しながら 開拓者の物語を描いてゆきました。>
回想
なつ「じいちゃんが 一人で北海道に来て 開拓したみたいに…。 私も 挑戦したい。」
泰樹「よく言った。 それでこそ わしの孫じゃ! 行ってこい。 東京を耕してこい! 開拓してこい!」
回想終了