富士子「何でも言い合える仲になったんですね。」
雪之助「もう困っちゃってるよ。」
とよ「だけどね 器は どうするんだい?」
雪之助「うん? 器?」
とよ「うちにも そんなにないよ。 いちいち 洗って使うのかい?」
雪之助「あ~ アイスクリームの器か…。」
妙子「はい。 それ 私 ずっと考えてたんですけど 器に もなかを使ったらどうでしょう?」
雪之助「もなか?」
妙子「もなかの皮です。 それなら 食べればなくなっちゃうし。」
雪之助「アイスクリームのもなかか…。 あっ そういえば あの~ 東京に 修業に行ってた頃にね 小倉を アイスにして もなかを作ったっていう 和菓子屋の話を聞いたことがある。 それは いいかもしんない!」
とよ「それなら うちでも売れるね。 そこで試せばいいのか!」
雪之助「うん!」
妙子「いい考えでしょう?」
とよ「よ~し それでいこう!」
富士子「いいですね!」
とよ「うん ハハハ…。」
雪之助「いや~ 腕が鳴るなあ。」
とよ「鳴らしてみれ。」
<と あっちこっちで盛り上がっています。>
十勝農業高校
演劇部
門倉「もうちょっと 上じゃないのか?」
倉田「よし ちょっと見せて… うん。」
<そして 瞬く間に 月日は過ぎて 大会当日の朝を迎えました。」
柴田家
玄関前
なつ「行ってきま~す!」
剛男 富士子「行ってらっしゃい。」
旧牛舎
泰樹「ほれ。」
なつ「じいちゃん。」
泰樹「おう。」
なつ「行ってきます。」
泰樹「おう 行ってこい。」
なつ「見に来てくれるよね?」
泰樹「ああ 行くさ。 行くからには 必ず勝て。」
なつ「うん… じいちゃんに 何も感じてもらえんかったら 私の負けだから。」
泰樹「ん?」
なつ「私が この芝居 見したいのは じいちゃんだけだから。 じゃ 行ってきます。」
演劇コンクール 十勝地区予選大会
富士子「アイスクリーム入ってますよ。」
とよ「おいしいよ~。」
「よかった。」
とよ「タダだから。」
雪次郎「オホホホホッ…。」
なつ「すごい大盛況だね。」
雪之助「もう 用意した材料が もうすぐ なくなりそうだ。」
雪次郎「いや~ 『勝農魂』か。 あれ? うちの店の名前が どこにも書いてねえな。」
妙子「バ~カ 店の宣伝じゃないの。 あんたたちを応援したくて してることなんだから。」