連続テレビ小説「なつぞら」第26話「なつよ、お兄ちゃんはどこに?」【第5週】

信哉「だからね なっちゃんたちのこと すぐに捜さなきゃいけないって 思ったんだけど つい 自分のことで精いっぱいで 後回しになってしまって 申し訳なかった。」

なつ「何言ってんのさ! 私の方こそ 自分だけ幸せになって ずっと悪いなって思ってたわ。」

剛男「こうやって また会えたんだから いいんでないかい。」

富士子「本当にね。 すごいことだわ。 わざわざ北海道まで。 そんで 今は 東京で働いてるのかい?」

信哉「はい。 新聞配達をしながら 夜間の大学に通っています。」

富士子「大学かい… 偉いねえ。」

信哉「孤児院を出てからは 働きながら定時制高校に通って その上も目指せるようにって いろんな方が協力してくれたおかげです。」

富士子「苦労しながら 努力もしたんだね。」

信哉「自分の力で 三度三度のごはんを 食べていくためには 今 お前ができる最善の努力をしろって そう先生にも おっしゃってもらったんです。」

富士子「偉い! それこそ 大学に行く意味だよね!」

夕見子「母さん 何が言いたいのさ?」

剛男「それで なつのお兄さん 咲太郎君の行方は分からないのか?」

信哉「はい。 残念ながら…。」

なつ「でも 4年前までは 新宿にいたって。」

剛男「新宿?」

悠吉「お兄ちゃん 無事に生きてたんかい。」

なつ「はい!」

菊介「いかったなあ 安否だけでも分かって。」

なつ「うん。」

菊介「なあ。」

剛男「それで 新宿では どんなことをしてたんだろう?」

信哉「芝居小屋で働いていたらしいです。」

富士子「芝居小屋?」

信哉「そういうところも あいつらしくて…。 きっと 咲太郎に違いないと思いました。」

悠吉「芝居好きなんかい。」

信哉「はい。 その芝居小屋は 4年前に潰れたんです。」

剛男「なるほど…。」

信哉「だから とにかく 今も 元気でいると思います。」

なつ「ありがとう 信さん。」

信哉「これからも捜してみるよ。 何か分かったら すぐに教える。 これは 僕が 今いる所。 そっちも 何か分かったら教えて。」

なつ「うん そうする。」

信哉「それじゃあ 僕は これで。 お邪魔しました。」

富士子「えっ… もう帰るのかい?」

剛男「ここに泊まっていけばいいのに。 宿を どっかに とったのかい?」

信哉「いえ… これから 函館に行って 明日一番の連絡船に乗るつもりです。」

剛男「こんな遠くまで来て とんぼ返りじゃないか。」

信哉「いえ それでも 本当に来てよかったです。 皆さん 僕が言うのもなんですが なっちゃんのことを どうか よろしくお願いいたします。」

台所

明美「わっ… 珍しい! どしたの? 勉強はいいの?」

夕見子「いいの。」

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