杉本「雪次郎君は 至って真面目に 修業されましたよ。」
雪之助「本当ですか?」
杉本「本当です。 だから 私も いなくなるのが残念で つい 少し きつい言い方を したかもしれません。」
雪之助「いえ… ありがとうございます。」
とよ「あの子は真面目だから… 真面目なまま 道を外れたんだね。」
妙子「あの子は ここで 決して皆さんに ご迷惑ばかり おかけしてたわけじゃないんですね?」
杉本「そんなことはないです。 彼に やる気がないとは 一度も思ったことはありませんでした。」
光子「私も てっきり 雪次郎君は お菓子作りが好きなんだと 思ってました。 さすがは 小畑雪之助さんのご子息だと。」
とよ「それだけの修業を捨てる覚悟をしたんかい あの子は…。」
雪之助「何言ってんだ。 そんなもの覚悟じゃない ただの甘えだ。」
とよ「覚悟だべ! あんた こんだけ真面目に…。」
雪之助「甘えだべ! こんだけ迷惑かけて…。 大体 お前が甘やかすから…。」
なつ「あの! 雪次郎君は 本気です。 本気で 演劇が好きなんです。 だから 雪次郎君も苦しいんです。 それだけは分かります。」
雪次郎宅
雪次郎「えっ 3人で来たんですか!?」
咲太郎「うん。 もうじきここに やって来ると思う。」
雪次郎「そ… そんな急に… それはないっしょ 咲太郎さん!」
咲太郎「お前は 逃げたんじゃないだろ? 覚悟して ここに来たんだろ? あとは お前が説得しろよ。」
雪次郎「それができたら ここにはいないですよ!」
咲太郎「情けないな…。 本当に 家族を捨てる覚悟があるのか? お前。 俺は お前を隠したんじゃないぞ。 お前の覚悟を後押ししただけだよ。 本当に やりたいことがあるなら どんなことにも 正面から向き合えよ!」
レミ子「来たわよ!」
咲太郎「じゃ そういうことだ うん。」
雪次郎「ちょっ… 咲太郎さん! いないって言って下さい…。」
咲太郎「おい おい… ちょ ちょ ちょ ちょ…!」
雪之助「雪次郎!」
妙子「雪次郎!」
とよ「元気かい?」
なつ「雪次郎君 黙って いなくなるなんて それはないっしょ。」
<ああ 雪次郎の運命やいかに…。>