おでん屋・風車
1階店舗
♬『ラム・ラム ムーラン・ルージュ』
雪之助「おふくろ!」
なつ「お兄ちゃん!」
咲太郎「おっ…。」
とよ「よ~し 覚えた! 覚えたべさ! これで 私も役者になれるか? ムーランルージュに入るべ 咲太郎。」
咲太郎「入れます! 役者みたいないい声。」
とよ「おう 雪之助! 菓子作ってる時だけ いい男! 私は 役者になるぞ!」
雪之助「あ~ どんだけ飲んだんだ… 酒弱いのによ。」
亜矢美「えっ 弱いんですか!? お強いって おっしゃってましたよ?」
雪之助「あ~ もう 強がりです。」
とよ「雪之助! 私も東京に残るぞ。 もう 好きなことやるぞ。 母さんを頼るな!」
雪之助「分かった 分かった 分かったから もう帰るぞ。 な。」
とよ「雪之助… たたいて悪かったな…。 あんたには 私の夢まで しょわせて… 苦労ばっかりかけて 悪かったな…。」
雪之助「分かったから 何もしゃべんな…。」
玄関
雪之助「すいませんね。」
なつ「おやすみなさい。」
とよ「はい おやすみなさい…。」
1階店舗
<そして 2日後の朝 雪次郎君は 風車に呼び出されました。」
一同「おはよう。」
雪次郎「おはようございます。 父さん この前は…。」
雪之助「話はいい。 これ 見れ。 俺が お願いして 川村屋から調達したんだ。」
雪次郎「えっ… 何する気だ?」
雪之助「お前は 東京で この2年近く 時間を無駄にしたことになる。 それが 本当に無駄だったかどうか ずっと俺ら家族をだましてたのかどうか それを確かめる。」
雪次郎「何をすればいいんだ?」
雪之助「ここにある道具を使って バタークリームのケーキを作れ。」
雪次郎「バタークリームのケーキ?」
雪之助「フランス菓子の基本だ。 まあ ジェノワーズは ここには オーブンがないから フライパンで焼いて作れ。 それを デコレーションして みんなに振る舞え。」
雪之助「みんなが満足したら合格だ。 この2年近く お前が どう生きてきたか それを しっかり味わってもらえ。 いいか?」
雪次郎「したけど オーブンがなくて ケーキが作れんのかい?」
雪之助「それを聞くな! 自分で考えれ!」
雪次郎「分かった。 やるべ!」