咲太郎「そうやって油断してるから お前は いざという時に出るんだ。」
雪次郎「すいません!」
咲太郎「おう。」
カスミ「ねえ 駆け落ちでしてきたの?」
なつ「えっ…。」
夕見子「世間一般の目から見たら そういうことになりますかね。」
なつ「はあ? 駆け落ち!?」
茜「えっ 相手も大学生?」
夕見子「はい。 同じ大学です。」
麻子「ご両親に反対でもされてるの?」
夕見子「そもそも 親には 何も言ってないので 反対も何もないです お互いに。」
麻子「だって 駆け落ちしたんでしょう?」
夕見子「だから それは 世間が そう見るかもしれない ってだけのことです。」
なつ「世間は関係ないでしょ 夕見のこと聞いてんの!」
坂場「人は 世間とは関係なく 生きられるものでしょうか?」
なつ「は? お願いです 今 ちょっと黙っててもらえますか。」
坂場「失礼。 続けて下さい。」
夕見子「世間と関係なくは生きられないから 駆け落ちしたんです。」
なつ「どうゆうこと?」
夕見子「このまま 北海道にいたらさ 親にも分かって 2人は どういう関係なんだとか 結婚する気はあるのか ないのか 認めるとか 認めないとか そうゆうことから 自由になるためだわ。」
坂場「なるほど。」
夕見子「ね。」
坂場「分かりました。」
なつ「分からないで下さい! あの 私が ついていけなくなりますから。」
坂場「失礼。 続けて下さい。」
雪次郎「夕見子ちゃんは その男の人を 愛しているのかい?」
レミ子「棒読みになってるよ!」
夕見子「愛って何さ? 雪次郎。」
雪次郎「えっ 愛って… 何だべ?」
レミ子「そこで なまんのかい!」
夕見子「教えてあげる。 愛って 志よ。」
雪次郎「こころざし?」
夕見子「男の存在には 愛を持てないけど この志だったら 愛を持てる。」
雪次郎「うん…。」
麻子「じゃ その志が消えたら 愛も消えちゃうの?」
夕見子「そう! ただ そこに その人がいるだけで 好きなんてありえないしょ。」
茜「そうかしら… それが愛なんじゃないかしら。」
堀内「何だか すごく合理的な愛に 聞こえるような それじゃ… ねえ…。」
夕見子「愛の不合理さを認めるから 女は不幸になるんです! それは もう古い!」
なつ「はあ~… 私には分かんないわ! 新しくなったりとか 古くなったりとかしないから 愛なんじゃないの? ねえ 愛ってさ…。」
咲太郎「おい 大丈夫か?」
坂場「大丈夫? き… 君の愛って 何ですか?」
なつ「ごちゃごちゃ言うな! 気持ち悪…。」
カスミ「はあ~… 若いって すばらしいわね 亜矢美ちゃん。」
亜矢美「愛を語れるだけ すばらしいわ。」
カスミ♬『愛の言葉は 眠らせないでね 夢と同じように 消えやすいから 恋しくて通う道 果てなき里の道よ』
2階なつの部屋
(戸が開く音)
夕見子「気分は? 大丈夫?」
なつ「ねえ 夕見。」
夕見子「うん?」
なつ「私にも分かるように話してよ。」
夕見子「何をさ?」
なつ「どして 東京来たのか その人は どういう人なのか。」
夕見子「その人は 物書きを志してる。」
なつ「物書きって 小説とか?」
夕見子「小説に限らずよ。 ジャズが好きだから ジャズの評論とかも 大学の同人誌では書いてる。」
なつ「その人も 夕見のこと 本当に好きなの?」
夕見子「男に だまされてるとか そんな心配いらないからね。 なつも その人に会えば分かる。」
なつ「だったら会わせてよ その人に。」
夕見子「そのうちね…。 さあ もう寝よ。 布団一つ?」