連続テレビ小説「なつぞら」第91話「なつよ、恋の季節が来た」【第16週】

なつ「うん。」

夕見子「ま いいか。 なつ…。」

なつ「うん?」

夕見子「迷惑かけて悪いね。」

なつ「迷惑なんて思うはずないしょ。」

夕見子「おやすみ。」

なつ「おやすみ…。」

1階居間

なつ「今日は どうすんのさ?」

夕見子「とりあえず 仕事を探さないと。」

なつ「こっちで探すの?」

夕見子「働かないと どこにいたって暮らせないしょ。」

咲太郎「大学には戻らないの?」

夕見子「うん… それは まだ決めてないけど そうなったら そうなったで 別に いいと思ってる。」

亜矢美「それは さすがに ご両親にも言わないとね。 お金 ずっと出してもらってんでしょ?」

夕見子「そりゃ 自分で決めたら言いますよ。 ごちそうさまでした。」

亜矢美「あっ いいよ いいよ… やるから。」

夕見子「あっ すいません お邪魔しました。」

なつ「えっ もう帰るの?」

夕見子「さすがに 向こうも心配してると思うから。」

亜矢美「ねえ とりあえずでいいんだったらさ うちで働かない?」

夕見子「ん?」

なつ「えっ?」

亜矢美「そんな大層なお給料とか 出してあげられないんだけど そのかわり 好きな時間に 自由に来てくれればいいから。 昼間でもいいし。 今 ここは 咲太郎のプロダクションの 事務所にもなってるし… ね。」

咲太郎「あ… うん。 電話番でも やってくれたら助かるよ。」

夕見子「本当に いいんですか?」

亜矢美「うん。」

夕見子「したら 仕事が見つかるまででも いいですか?」

亜矢美「もちろん。」

夕見子「そしたら よろしくお願いします。」

亜矢美「ああ… お願いします。」

夕見子「とりあえず また来ます。」

亜矢美「うん うん…。 待ってるね。」

夕見子「ありがとうございました。」

なつ「亜矢美さん お兄ちゃん 本当にいいの?」

亜矢美「顔を見れれば ちょっとは安心できるでしょ?」

なつ「それで…。」

(戸が開く音)

亜矢美「は~い 気を付けて…。」

なつ「ありがとうございます。」

東洋動画スタジオ

作画課

<『ヘンゼルとグレーテル』は 作画作業が始まっていました。>

神地「あの なっちゃん。」

なつ「えっ?」

神地「これ 原画を描いてみたんですけど 見てもらえますか? あの マコさんも よかったら。」

麻子「もちろん いいわよ。」

なつ「分かった。」

麻子「よく描けてるように見えるけど。」

なつ「はい…。 でも どうでしょう。 これで…。」

茜「すごい…。 裏から見ても デッサンに狂いがないわね。」

神地「それぐらいは常識でしょう。」

堀内「奥原の初めの頃とは大違いだな。」

なつ「はい…。 わざわざ言います? それ。」

堀内「すまん。」

麻子「これで いいと思う。 じゃ これ 自分で動画も描いてみる?」

神地「はい! あっ 茜ちゃん 描いたら見てくれる?」

茜「あ… うん もちろん。」

神地「ありがとう。 じゃ… ありがとうございました。」

茜「ちょっと なれなれしいけど 文句言えないわね あれじゃ。」

なつ「いきなり ちゃん付けですか…。」

麻子「神地航也… 神っちと呼んであげましょう。」

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