高山「ジャズなんて ただの遊びですよ。」
夕見子「昭ちゃん…。」
高山「無理なんだわ。 俺が 家を継がないなんて できっこないんだ。」
夕見子「なして!」
高山「夕見だって そう思ってるから ここに来たんだべ!」
夕見子「どうゆうこと?」
高山「うちの親に ばれればいいと思ったんでないのか?」
夕見子「はあ?」
高山「お前だって… 本当は俺がマル高デパートの跡取りだから 好きになったんだべ。」
夕見子「それ 本気で言ってんの?」
高山「大体 夕見は 俺のことが好きでないべさ? いつも計算高くて 偉そうで 俺に対する優しさなんて 一つも感じたことなかったからな!」
夕見子「優しくできないのは あんたが甘えるからだべ。」
高山「したら そっちが甘えればいいべ! そうゆう かわいげもないんだわ 君には!」
夕見子「かわいげって何?」
高山「分からない女だな 君は。」
夕見子「それって 女が分からないことも 男のためには分かれってことでしょ!」
高山「そうゆうとこが もう うんざりなんだわ!」
咲太郎「おい なつ 何で お前が泣いてんだ?」
なつ「夕見は… 子どもの頃から 人に甘えたりしなかった。 私がいたから…。」
夕見子「は?」
なつ「9歳の時に 突然 見ず知らずの私がやって来て… 夕見が 一番 親に甘えたかった時に 私がいたから 夕見は 誰にも甘えらずに…。 それでも 私のことを受け入れてくれて…。 だから 家族とか結婚とか そうゆうことに 冷めてるとこがあるとすれば それは 私のせいで…。」
夕見子「なつ…。」
なつ「でもね… 夕見は ただ一度も… 一度も うそをつかなかった。 私に対しても 誰に対しても 一度だって うそをつかず うそのない夕見のままでいてくれた。 それに私が どんだけ救われたか…。」
なつ「今まで生きてきて 夕見のような素直な子に 私は会ったことがない。 こんなすてきな人 見たことない。 夕見が 計算高くて偉そうだなんて… あんたは 夕見のこと知らなさすぎる! あんたに 夕見はやらない! 絶対に渡さない! あんたと夕見の結婚を 私は 絶対に認めない!」
夕見子「なつ 落ち着いて…。」
夕見子「そもそも 結婚する気なんてないんだから。」
高山「俺だって 結婚する気はないよ。」
夕見子「あんたは… 自由になんて なれないんだね。」
高山「自由になって 飯も作れん女と 結婚したって しょうがねえべ!」
なつ「ねえ ちょっと」
咲太郎「もういい! もう終わった。 話はついたから…。」