連続テレビ小説「なつぞら」第97話「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」【第17週】

会議室

仲「今年の1月から 手塚治虫さんのプロダクションが 制作してる『鉄腕アトム』が テレビで放送されてることは知ってるね。」

茜 なつ『はい。』

仲「その『鉄腕アトム』が テレビ漫画として大ヒットしてる。 そこで うちでも テレビ用のアニメーション テレビ漫画を制作する テレビ班を作ることになったんだ。 なっちゃんは 原画として 茜ちゃんは 動画として そのテレビ班に行ってもらいたい。」

井戸原「君たちには 長編映画を外れて テレビ漫画に専念してもらいたい。」

なつ「もう映画には関われないんですか?」

仲「今は 東洋動画らしく このテレビ漫画を成功させることが 何よりも先決なんだ。」

露木「坂場君は このテレビで ようやく 演出家として 世に出られることになった。 君たちの若い力に期待してるよ。」

山川「放送は 今年の12月からだ。 企画は ここにいる 猿渡君から出たもので 彼にも 原画を描いてもらう。 題名は『百獣の王子サム』と決まった。」

なつ「『百獣の王子サム』?」

猿渡「舞台は 架空のジャングルです。 そこに ライオンに育てられた 人間の少年が一人いるんだ。 姿形は 人間だから 動物たちからは 差別を受けるわけね。 その少年 サムが さまざまなトラブルを解決していって やがては 百獣の王の子として 動物たちから認められるようになる。 そういう話ね。」

なつ「面白そうですね。」

猿渡「でしょ!」

茜「猿渡さん いつの間に こんな企画を考えてたんですか?」

猿渡「僕は テレビをやりたかったからね こっそり企画を出してたんだよ。」

なつ「あの 仲さん 一つだけ聞いてもいいでしょうか?」

仲「うん。 何?」

なつ「東洋動画らしくというのは 『鉄腕アトム』とは 違うやり方で 作れっていうことでしょうか?」

仲「いや… 『鉄腕アトム』と 同じやり方で作らなければ テレビでは成立しないだろうね。」

山川「低予算で しかも 時間もない中で作って あれだけヒットさせていることに 『鉄腕アトム』の価値はある。」

なつ「そうですか…。」

坂場「仲さんは あれをアニメーションだと 認めていますか?」

仲「えっ?」

坂場「僕は 少なくとも 東洋動画らしい アニメーションの作り方だとは思えません。 仲さんは どう思っていますか?」

仲「もちろん あれは フルアニメーションではないと思っているよ。」

坂場「それでも 作る価値があると思いますか?」

なつ「イッキュウさん…。」

<なつよ 新しい時代の波が押し寄せてきた。 君は その波に翻弄されるのか? それとも乗るのか?>

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