なつ「お兄ちゃん これ。」
咲太郎「おお これか! 出たか!」
<咲太郎の声優プロダクションも なんとか形になって 今は 四谷という場所に 事務所を構えています。>
なつ「レミさん また新しい仕事 決まったんだ。 おめでとう。」
レミ子「男の子の声ばっかりだけどね。」
咲太郎「レミ子は もう うちの貴重な戦力だよ。」
レミ子「なっちゃん。」
なつ「うん?」
レミ子「雪次郎とは 最近 話してるの?」
なつ「雪次郎君と? 雪次郎君も 仕事は順調なんでしょ?」
録音スタジオ
<雪次郎君も 努力のかいがあって 吹き替えの当たり役を得ました。>
藤井「全体的に ゆっくりなんですよね これね。」
蘭子「はい。」
藤井「何か セリフ足しましょうか。」
蘭子「はい…。」
雪次郎「じゃあ… 『あなたも私も』って 足したらどうですか? 『おいしく作れた方が 今日は 夕食を作るの。 あなたも私も おいしいものが食べたいでしょ』。」
蘭子「いいかも… あっ どうですか? 藤井さん。」
藤井「お~ いいね ハハハ。 小畑 さえてるじゃないか お前 ハハハ…。」
蘭子『分かったわ。 どっちが夕食を作るか 料理で決めましょう』。
雪次郎『ナンシー 一体 何の話をしてるんだい?』。
蘭子『おいしく作れた方が 今日は 夕食を作るの。 あなたも私も おいしいものが食べたいでしょ』。
雪次郎『はあ… どっちが勝ったとしても 2人とも もう十分 おなか いっぱいになってるよね』。
<アメリカのシチュエーションコメディー 『ビューティフル・ナンシー』で 気の弱い夫の声を演じています。 気の強い妻役の亀山蘭子さんと 共演を果たしました この番組は 大人気となりました。>
おでん屋・風車
1階店舗
咲太郎「どうも 劇団で 妙なうわさが立ってるらしいんだ。」
なつ「うわさ?」
咲太郎「うん。」
亜矢美「雪次郎君の?」
咲太郎「うん。 あの亀山蘭子と雪次郎が 恋仲になっているとか。」
なつ「えっ! うそでしょ?」
レミ子「劇団の中じゃ すっかり事実として扱われてるわね。」
なつ「えっ でも 本当じゃないでしょ?」
咲太郎「ああ それは分からない。」
レミ子「雪次郎の本音を なっちゃんに聞きたかったのよ。」
なつ「いや 私だって分かりませんよ。 そんなこと。」
咲太郎「劇団の恋のうわさっていうのは まず当たってるんだよ。 な 母ちゃん。」
亜矢美「まあね。 そういうとこは 昔っから変わんないわな。」
咲太郎「なつの職場は そんなことないか?」
なつ「ある。 いや だけど…。」
雪次郎宅
(ノック)
雪次郎「はい 開いてるよ。 何だ なっちゃんか。」
なつ「元気?」
雪次郎「どうしたの?」
なつ「借りる。」
雪次郎「うん。」
なつ「う~ん 実はね… これ。」
雪次郎「週刊誌?」
なつ「私が取材を受けて これに載ったんだわ。」
雪次郎「えっ 本当かい! どれ どれ どれ どれ どれ どれ どれ…。 どこ どこ どこ?」
なつ「ここ。」
雪次郎「うわ~! こんなに でっかく載ってますもね! かっこいいな! これ 柴田牧場の人たち 知らせたのかい?」