連続テレビ小説「なつぞら」第99話「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」【第17週】

東洋動画スタジオ

作画課

<一方 テレビ漫画『百獣の王子サム』は  絵コンテも出来上がり 作画作業が始まりました。 なつは サムが駆け抜けるカットの原画を 描いています。>

猿渡「あ… そこは そんなに 丁寧に描かなくていいんだよ。」

なつ「えっ? 普通に描いてるだけですけど。」

猿渡「速く走り去るんでしょ? ちょっといい? そういう時は…。 これで いいんだよ。」

なつ「えっ これで?」

茜「あの それって 動画は どうやって描けばいいんですか?」

猿渡「この流線だけ動かせばいいの。 3枚くらい使って フレームアウトさせれば サッと走り去ったように見えるでしょ。」

2人「ええ~っ!」

劇団赤い星座

稽古場

雪次郎『断じて認めないぞ! あんたも あいつも!』。

蘭子『デカダン! 私のかわいい子 堪忍しておくれ。 不幸せな私を許しておくれ』。

雪次郎『僕の気持ちが お母さんにも分かってもらえたらな! 僕は もう書く気がしない…。 希望も みんな…』。

蘭子「ダメ! 全く ダメ!」

雪次郎「はい… もう一回お願いします!」

蘭子「もういいわ 少し休みましょう。」

雪次郎「すいません…。」

蘭子「あなた 覚えてる?」

雪次郎「えっ? あなたが 初めて 私の芝居を見に来てくれた時のこと。」

雪次郎「はい… もちろんです。 『人形の家』でした。」

蘭子「あの時 あなたが 私に言ったこと。」

雪次郎「えっ…。」

蘭子「私の芝居に アマチュア精神を感じると言ったのよ。」

雪次郎「あっ…。」

蘭子「それは どうして?」

雪次郎「あ… それは 高校の時 演劇部の顧問だった倉田先生に よく言われていたからです。 アマチュア精神を 忘れたような芝居をするなって。」

雪次郎「役者として うまくやろうとするな かっこつけるな 普通の人間として しゃべれてって…。 本物の役者こそ まさに そういうもんだと思ったからです。 蘭子さんを見て。」

蘭子「私も言われたのよ。 最初に お芝居を教えてくれた大先輩に。 新劇で 一番大事なものは アマチュア精神だって。 こんなふうに その人は いつまでも 私につきあって 徹底的に教えてくれたの。」

雪次郎「男の先輩ですか?」

蘭子「もう… 死んだけどね。 戦争が激しくなって 私は疎開したけど その人は 移動演劇隊に入って… 昭和20年8月6日に 広島にいて…。」

雪次郎「蘭子さんは その人のことを…。」

蘭子「あの人と同じ言葉を言ったあなたには あの人の分も生きて 演じてほしいのよ。 頑張ってほしいの これからも。」

雪次郎「分かりました。」

蘭子「それじゃ もう一回やりましょう。」

雪次郎「はい。」

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