連続テレビ小説「なつぞら」第99話「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」【第17週】

東洋動画スタジオ

作画課

坂場「サムは動かず 顔も固まったまま 潤んだ涙だけが動くのか…。」

猿渡「動かすのは 涙だけでいいってことね。」

なつ「動かすところは動かして 動かさないところも個性として考える そうやって キャラクターを 作っていくしかないと思うけど。」

坂場「なるほど…。 単純な動きでも 登場人物の気持ちは 伝わるもんなのかもしれないな…。」

茜「そりゃ 止まった絵の漫画だって 気持ちは伝わるんだもの。」

なつ「そうですよね。」

坂場「いや… 形式じゃなく 意識の問題だよ。」

なつ「意識?」

坂場「登場人物の個性に合わせて 動きに メリハリをつけてゆく意識を持てば 省略された動きでも 生き生きと 見せることはできるということです。 ほら 日本人の感覚にある 歌舞伎の演技のように! 形式は違っても そうやって 東條人物を演じるという能力こそが うちのアニメーターが培ってきた 強みじゃないでしょうか。」

なつ「強み?」

坂場「君の力です。 動きは抑えても アニメーターの感情を 抑えることはないんですよ。 表現として妥協することはないんです。 くさらずに やって下さい。」

なつ「私は 全然 くさってませんけど…。 でも… 分かりました!」

猿渡「まあ そうやって こだわると 残業が続くだけなんだけどね。」

荒井「ほ~い… うどん作ったから食うてや!」

茜「わあ 荒井さん 最高! 行こう 行こう!」

<なつが前進すれば 雪次郎君も また…。>

劇団赤い星座

稽古場

蘭子『意気地なし! 不幸せな私を許しておくれ』。

雪次郎『僕の気持ちが お母さんにも分かってもらえたらな!』。

雪次郎『人生は 僕にとって 耐え難いものになった。 苦しみがあるだけだ。 若さが急に摘み取られて 90年も生きてきたような気がする』。

雪次郎『僕は 君の名を呼んだり 君の歩いた地面に接吻したりしている。 どこを見ても 君の顔が見える。 僕の生涯で 一番楽しかった時代を 照らしてくれた あの優しい笑顔』。

東洋動画スタジオ

作画課

なつ「さあ 来やがれ! 来やがれ…。」

<こうして 時を重ね 雪次郎君の舞台が 初日を迎えました。>

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク