オハラ洋装店
糸子「はい どうも。」
「おおきに。」
糸子「おおきに~。 あ~ もう 忙しい! あ~ 忙しい忙しい。 よいしょ。」
善作「やかましい!」
糸子「はあ?」
善作「どないもならんのに『忙しい 忙しい』言うな。」
糸子「せやけど ほんま 忙しいんやて。 勝さんの仕事も 全部 こっちに 回ってきてしまうんやさかい。」
善作「せやから わしが こないして来て 手伝うてんのやないかい。」
糸子「あ せやせや あれ どない なっちゃったかいな。」
『ごめんください。 お荷物です。』
糸子「は~い!」
2階 座敷
善作「糸子~!」
糸子「ん?」
善作「勝君の荷物か?」
糸子「うん。 着ていった背広 送り返してきたわ。」
善作「ちゅう事は まだ 大阪にいてんけ?」
糸子「う~ん それは 書いてないけど 元気やて。」
善作「せめて この正月ぐらい 日本で迎えられたらなあ。」
糸子「うん…。」
善作「あ… 中 よう見たか?」
糸子「え?」
善作「見てみ。 そういう所にな 書いたら あかんようなもん 書いて 入れとくもんなんや。」
糸子「ほんま? 何も入ってへんけどなあ…。 ん…? 何か入ってる。」
善作「見てみい。」
糸子「うん。 ん?」
善作「何や?」
糸子「その女の人 どっかで見た事ある。」
回想
菊乃「あっ 小原さん。」
回想終了
糸子「あ… あの人や。」