場面変わり調理室にて
河上堅吾「社長いくらなんでも入社面接でこれは」
芹沢達美「わかってる、大人げなかったわよ」
夏川彩「いいんじゃないですか別に、あの子なんか、イラッときますもん。」
有栖涼「でも彼女口だけじゃないみたいですよ。なかなかいい手つきしています。」
夏川彩「あれくらい少し料理かじっていれば普通ですよ。大体ベーコンと玉ねぎってお母さんがインスタントラーメンに入れる冷蔵庫の残り物って感じ」
夏川彩「はい、麺、具、スープは店と同じ物を用意したから」
汐見ゆとり「ありがとうございます。加水率38%茹で時間は1分45秒」
芹沢達美「ズバリ当てたわね!生麺を一口味わっただけで。」
芹沢達美「夏川、あのスープ?」
夏川彩「なにか問題でも?」
芹沢達美「性格悪いわよ」
汐見ゆとり「この清湯スープ、アク取りは終わってますけど、浮いた油を取り除くの忘れてませんか?」
夏川彩「えー?あっ、本当だー!間違えちゃったのねきっと!スープは私がやっとくから、あなたは調理を進めて!」
汐見ゆとり「じゃあ宜しくお願い致します。」
汐見ゆとり「完成です!ベーコンと玉ねぎを麺とよく絡めてお召し上がりください!」
河上堅吾「では、いただいてみますか」
有栖涼「んーこれは美味いー。シンプルで研ぎ澄まされた味わいだった特製肉だし清湯麵にこの具を加えたことで食感の変化と賑やかで勢いが加わってる!」
汐見ゆとり「そうそう、そうなんです!あの月替わりラーメンって、なんかこう、大人しくて”フムフム”って感じでしたから。」
河上堅吾「これ、分量配分は絶妙ですよ!こんなに味の強い炒め物加えたのに繊細なスープの味を生かす最適の料理だ!君ーさっき目分量で入れていたようですが」
汐見ゆとり「そういうのなんとなくわかるんです!」
夏川彩「でもこれはもう特製肉だし清湯麵とは全く別のラーメンですよ!」
汐見ゆとり「でも私の作ったラーメンの方が”ワクワク”しませんか?私にとってラーメンって、美味しくて”ワクワク”する食べ物なので!それにラーメンとしては絶対にこっちの方が美味しいです!」
夏川彩「ちょっ!社長!社長もなんとか言ってくださいよ!」
芹沢達美「とりあえず、料理の腕だけは認めざるを得ないようね」
汐見ゆとり「ありがとうございます。」
面接終わって外に出るゆとり
汐見ゆとり「よし!採用確実!」
有栖涼「特製肉だし清湯麵は”フムフム”でラーメンは”ワクワク”か。いやーあの言葉は確かに本質的指摘だよー。特製肉だし清湯麵は確かに完成度も高いし”フムフム”と感心も出来るけど、まるで芸術作品みたいなよそよそしさがあったんだよなー。つまり足りなかったのは人をを引き付ける熱というか?熱く激しいワクワク感だったわけだww」
河上堅吾「有栖さん、今日はもうお引き取り下さい。」
場面変わり廊下?
白坂隼人「空気が重過ぎて部屋に居られませんよ。」
須田正史「激辛麻婆麺辛さMAXを超えるピリピリ感だな」
夏川彩「本当だよ。あの女、芹沢社長に自分のラーメンの方が美味しいとか平然と言っちゃうんだから」
白坂隼人「絶対不採用ですよ」
須田正史「当たり前だ!あんな爆弾娘が採用されて問題発言連発されたら僕らの寿命がもたないだろ」
電話が鳴り事務所内へ
河上堅吾「はい、清流企画。汐見さん?いや、そう言われてもですね。」
芹沢達美「何?」
河上堅吾「社長に代わってほしいと」
芹沢達美「はい、芹沢です。」
汐見ゆとり「芹沢社長!困っているラーメン屋さん見つけました。問題を抱えて困っているラーメン屋さんです!すぐに何とかしてあげないとつぶれちゃいそうなお店で、これはもう私達、清流企画の力で助けてあげましょう!」
河上堅吾「私達?」
汐見ゆとり「あれ?社長?聞こえてますか?もしもーし?」
汐見ゆとり「聞こえてます!てかあなたさっきから何勝手なこといってるの?」
場面変わり問題のラーメン屋にて
汐見ゆとり「要するにこういうことなんです。面接が終わって、私がここを通りかかったらですね。」
店の前で相談している二人を見かけたとのこと
汐見ゆとり「私、試しにお店のラーメンを食べてみたんです。そしたら驚きました。」
ラーメンが”トボトボ”していて不味いとのことw
汐見ゆとり「そういうわけで、これはもう内で何とかしてあげないといけないと思いまして」
河上堅吾「内でって、汐見さん。わが社はまだあなたを採用すると決めたわけじゃないんですから」
一応料金の説明をして引き上げようとした時、芹沢から河上に着信が入り。
依頼を引き受けても良いが電話を汐見に代わるように促す。
芹沢達美「そのお店のコンサルティング。あなたに任せるわ。それがあなたの入社試験だから!その京来軒っていう店をあなたの力で建て直せれば、晴れて清流企画に採用、失敗すれば不採用。自信あるんでしょう?」
汐見ゆとり「はい!もちろんです!」
場面代わり店の店主・郷田正一から現状の説明をうけるゆとり
去年まではそこそこ客足があり、近くにあった工場の従業員が常連だったが
工場の閉鎖で、客足が遠のいてしまったとのこと。
汐見ゆとり「任せてください、”トボトボ”もすぐに”ワクワク”になりますよ」