夜ドラ「作りたい女と食べたい女」(第12回)

佐山「野本さんは どうするんですか?」

野本「私は受けようと思います。 私 実は結構好きなお店で たまに買ってて。」

佐山「そうなんですね。」

野本「はい。

佐山「最近ちょこちょこ見かけますよね。」

野本「はい。 あと あんなふうに 推薦してもらっていたなんて うれしいなあ… と。」

佐山「分かります。 ちゃんと仕事してれば 見てくれてる人は 見てくれてるんですね。」

野本「あっ じゃあ 佐山さんも?」

佐山「はい。 まあ 私は単純に 残業代増えるの うれしいなって感じですけど。」

野本「そっか じゃあ 一緒に頑張りましょう。」

佐山「はい! 頑張りましょう。 野本さん 今週空いてる日とかありますか?」

野本「え?」

佐山「よかったら 仕事のあととか ごはん行きませんか? 推薦されたお祝いというか 何というか…。」

野本「ぜひ!」

佐山「よかった!」

マンション

廊下

(ドアの開閉音)

南雲「あ…。」

春日「こんにちは。」

南雲「あっ すいません 邪魔で。 これ すぐに運びますので。」

春日「いえ 大丈夫ですよ。」

南雲「すいません…。」

春日「手伝います。」

南雲「あっ いや そんな…。」

春日「大丈夫です。」

南雲宅

春日「これで全部ですね。」

南雲「ありがとうごいます。 あ… 引っ越しのご挨拶にも 伺わないままだったのに すいません。」

野本「いえ 今は ひとり暮らしなら 挨拶しないほうが無難ですよ。 どんな人が住んでるか 分からないですから。」

南雲「はい。 あっ 引っ越してきた南雲といいます。 よろしくお願いします。」

春日「春日です。 よろしくお願いします。 では。」

南雲「あっ あの…。 これ ゆずなんですけど 食べられますか? あと 野菜とか もらってもらえませんか? 運んで頂いたお礼に。」

春日「いえ そんな。 悪いです。」

南雲「いえ よければ。」

春日「でも…。」

南雲「ほんとに。 捨てちゃうことになると もったいないので。 料理 そんなにしなくて よければ。」

春日「いいんですか?」

南雲「はい ちょっと待って下さい。」

春日「そんなに大丈夫ですか?」

南雲「こんなにたくさん食べられないって 言ってるのに 送ってくるんです。 実家から。 もし ご迷惑じゃなければ もらって頂けると助かります。」

春日「迷惑じゃないです。 では 遠慮なく。」

南雲「ありがとうございます。」

春日「これ お隣の方にも 少しお裾分けしてもいいですか?」

南雲「お隣?」

春日「はい 南雲さんのお隣の方です。 私と同じ年くらいの 女性の方なんですけど その方と仲よくさせて頂いていて。」

南雲「もちろんです。」

春日「ありがとうございます。 では 失礼します。」

南雲「はい。」

(ドアの閉まる音)

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