恵里「外へ行って そこで暮らしてみて 本当の沖縄の良さとかさ そういうの 分かると思うんだよね。 沖縄の良さもさ ウチの家族の良さの 『もっと いいな』って 『ずっと そこにいる人より 思うんじゃないかな』って思う。 だから 私は 家を出てみたい。」
恵里「お父さんも お母さんも おばぁも 恵達も 大好きだけど 家を出でみたい。 沖縄の町も海も人も 大好きだけど 外に出てみたい。 そう思う。」
勝子「そう…。 受けてみれば? 東京の大学。」
恵里「え! いいの?」
勝子「こんな所で 今みたいに 恰好よく 言われたら 反対できないもんね。 反則だよねぇ。 ま 受けるだけ 受けてみれば? 受かったら 考えればいいじゃない!」
恵里「うん。」
ハナ「おばぁは 落ちると思うけどねぇ。 ま 受けてみたら。」
勝子「そうですよね 受かるとは全然限らないですよね。」
ハナ「そうそう!」
恵里「何ね それは なんで?」
外食中の恵文と恵達
恵文「な 恵達 恵里は 行くと思うか? 東京に…。」
恵達「どういう意味? 反対なんだろ。」
恵文「反対さ もちろん。 だけどさ お父さんが 聞きたいのは 恵里は 何があっても 誰に反対されても 行くと思うか? ということを聞いている訳さ。」
恵達「なるほど…。」
恵文「どうなの?」
恵達「行くんじゃない? 姉え姉え 結構 頑固っていうか 言いだすと 聞かないよ。 やる時は やるしね。」
恵文「沖縄の女 皆 そうさぁ。」
恵達「そうなの?」
恵文「そうだよ じゃ あれだね…。 お父さんがどんなに反対しても 効果なしか?」
恵達「ま そういう事かね。」
恵文「よし じゃ 反対しよう 最後まで。」
恵達「は? 意味 分からんさ それ。」
恵文「なんで? お父さんの わがままで 大事な娘が やりたい事が 出来なくなるなんて そりゃ よくない。 そうだろう?」
恵達「ああ… あ?」
恵文「でも お父さんは 反対したい訳…。 それが 愛というものだよ。」
恵達「はあ? 分からんさ。」
恵文「分かってたまるか。」
こはぐら壮
勝子「おかあさん?」
ハナ「何。」
勝子「わざとですか? やっぱり…。」
ハナ「何がよ?」
勝子「家族が バラバラになりそうだったから わざと こんなふうに…。」
ハナ「何を言ってるか さっぱり 分からんさ。 おばぁは おじぃに 話が したくなっただけだよ。」
勝子「そうですか?」
ハナ「そうです。」
勝子「ありがとうございます。」
ハナ「だから… 何がよぉ。」
勝子「やっぱりね!」
ハナ「かわいい寝顔だねぇ。」
勝子「ええ。」
ハナ「勝子さんにも こんな頃が あったんだよね。」
勝子「ええ…。 どういう意味ですか? それ。」
ハナ「フフフ…。」
勝子「おばぁにもね。」
ハナ「ああ おばぁが 1番 かわいかったさ。」
恵里「(寝言)結婚しようねぇ…。 文也君…。」