居間
ハナ「なんか ひっくり返したねぇ。 急いで 支度してるのかね?」
勝子「そうですかねぇ。」
恵文「おばぁ 言わんでくれ 我慢できなくなるから。」
ハナ「あい。」
恵里と恵達の部屋
恵達「何だ? これ。 まくら?」
恵里「それ ないと 寝られないのに。」
恵達「ダメ もう これは 後にする。 チョット どいて ほら。」
恵里「え? それも ダメ?」
恵達「当たり前だろ。 何で アルバム 3冊も 持っていく訳?」
居間
勝子「実はね おかあさん。」
ハナ「ん?」
勝子「私も 家出したことあるんですよ。 中学生の時。」
ハナ「そうなのねぇ。」
恵文「初耳だねぇ。」
勝子「あら 文ちゃんの知らないこと いっぱい あるよ。 神戸から 学校に教育実習にきていた先生 好きになって。」
恵文「え?」
勝子「でね その先生 倉田先生って いうんだけど その先生 神戸に帰ってしまって。」
ハナ「男を追ったんだねぇ。」
勝子「ええ 情熱的でしょ?」
ハナ「そういうの好きさ おばぁは。」
恵文「俺は 好きでないね。」
勝子「それで 神戸に どうしても行きたくて それで 家出 朝早く。」
恵文「で どうした訳? 神戸へ行った?」
勝子「ううん。 家を出てね チョット行ったら お父さんがいたの。 分かってたんだねぇ 私が行こうとしてたの。 で 連れ戻されたわけ。」
ハナ「そうね。」
勝子「あの時 その前の夜 お父さんや お母さん どんな気持ちだったんだろうなあと 今 思った。」
ハナ「そうだねぇ。」
恵里と恵達の部屋
恵達「どうよ? これで。」
恵里「あ そうだ 恵達 あっちの部屋から そ~っと行って 写真取ってきて。」
恵達「え?」
恵里「あの テレビの所にあるでしょう 皆で写ってるヤツ 兄い兄いも一緒に。」
恵達「ああ ゴーヤーマン発売記念のヤツ?」
恵里「うん あれ持っていきたい お願い。」
恵達「しょうがねぇな もう。 待ってろよ。」