誠「『そこまでする価値は俺の右腕にはない』って 言われたよ。 監督さんにさ。」
恵里「え?」
誠「『野球あきらめて 会社で働くなら 早い方が いい』って。 そうじゃないと どんどん 仕事も 分からなくなるし 置いていかれるから』って そう言われたよ。」
恵里「そんなぁ…。」
誠「それで 今は営業社員。 野球は やめたさ。」
恵里「そんなの ひどい ひどすぎるさ!」
誠「恵里 ひどくない ひどくないよ。」
恵里「だって…。」
誠「監督さんは 俺の事 一生懸命 考えてくれたんだ。」
恵里「だってさぁ…。」
誠「それが現実さ。 どうしようもないんだよ 現実は。 恵里 しかたないさ。」
恵里「だって 誠は すごかったんだよ。 皆のヒーローだったんだよ! 皆の中で 一番 夢に向かって まっすぐに向かっていってさ…。」
恵里「私は まだ何も見つけられないけど 『誠みたいに』って思ってたさ。『誠に負けないように』って そう思ってたんだよ。 私だけじゃない。 那覇北高の皆が そうさ。 皆が誠の事…。 だって…。」
誠「恵里 ごめんな。」
柴田「(泣き声)」
真理亜「ごちそうさまでした。」
恵里「ありがとうございました。」
誠「さて そろそろ帰ろうかな。 明日も早いし…。 ここに来れば 沖縄に 帰ったみたいで 寂しくないさ。 それに 恵里にも会えるしさ。」
恵里「うん。」
誠「毎日 来るよ。 じゃ おやすみなさい。 ごちそうさまでした。」
兼城「また おいでよ。」
恵里「おやすみ。」
一風館
容子「誰?」
恵里「あ…。」
容子「恵里ちゃん どうしたの?」
恵里「容子さん。」
容子「ん?」