真理亜「同じ物を。」
兼城「かしこまりました。 なんか 怖いね。」
恵里「はあ。 どうぞ。」
真理亜「ありがとう。」
恵里「おいしいですか? 何でもないです。」
誠「誰?」
恵里「同じアパートの人。」
誠「何でアパートの人が こんなにいる訳?」
恵里「さあ。」
柴田「あの…。」
兼城「何?」
柴田「私にも 同じ物を。」
兼城「ごめんね 終わってしまった。」
柴田「そうですか。」
恵里「誠 何で東京にいるの? 野球は?」
誠「あ…。 ごめん 今 食べてるだろう。 それからでいい?」
恵里「何で?」
兼城「はい 中味汁 出来たよ。」
誠「懐かしい ありがとうございます。」
誠「うまかった! やっぱり 沖縄料理は おいしいさ。」
兼城「それにしても よく食べたね まるで 牛のような 食欲さ。」
誠「それは あんまりさ。」
柴田「牛を 悪く言わないで下さい。」
誠「え?」
柴田「何でもないです。」
恵里「もういいでしょう?」
恵里「話して。」
誠「何が? 結婚の日取りか?」
恵里「怒るよ 本当に!」
誠「怒らんで! 恵里 怒ると怖い。」
恵里「じゃ 何で 東京にいるの? 大阪で野球してるはずでしょう? 誠 ちゃんと話して。 マネージャーに 報告する義務があるよ 誠には。」
誠「言いたくないんだ。」
恵里「何で?」
誠「恰好 悪いから。」
恵里「全然 分かんないさ それじゃ。 お願い。」
誠「転勤になった 東京支社の営業に。」
恵里「え? 何で?」
誠「野球… ダメになったさ 俺。 右ひじ 壊してしまってさ。」
恵里「ひじって 治らないの? 悪いの?」
誠「手術すれば 治るかもしれない。」
恵里「だったら すればいいさ。」
誠「うん 確かに。」
恵里「何で しない訳?」
兼城「お金かね?」
誠「それも ありますけど…。」
兼城「『けど』?」
恵里「どういう意味?」
誠「プロ野球の選手みたいには いかん。」
恵里「何でよ?」