ゆがふ
兼城「へえ そうかぁ。 年寄りの独り暮らしというのは 大変だねぇ。」
恵里「そうですよねぇ。 なんか 最近 思うんですけど 東京では お年より なんていうか おとなしいですね。」
兼城「うん そうかもねえ。」
恵里「沖縄じゃ うちなんか おばぁが 一番偉いっていうか いばってる。」
兼城「沖縄のおばぁは また 特別さ。」
恵里「そうですかねぇ。」
兼城「うん。」
恵里「でも また あっという間に 前の『ゆがふ』に 戻ってしまいましたね。」
兼城「うん ま 金持ちには なれない 運命かもね。 ハハハ。」
(戸が開く)
兼城「いらっしゃい。 容子さん『ようこそ』なんて…。」
容子「ハハハ どうも。」
柴田「あの 僕も いますけど。」
兼城「見えてるから 適当に その辺に 座りなさい。」
容子「どうしたの? 恵里ちゃん。」
柴田「どうかしたんですか?」
恵里「2人とも 同じアパートで 病気の人が いるんですよ。 こんなとこで 寄り道してて いいんですか?」
容子「え? いいのよ ほっとけば あのオヤジ…。」
柴田「そうですよ。 容子さんから 聞きましたけど 恵里さんは 立派に やるべき事 やってますよ。 後は もう…。」
恵里「冷たいですねぇ。」
容子「そう言われちゃうと なんかねぇ。」
柴田「ねえ ねえ。」
兼城「じゃ こうしよう。 暇だから 店は 彼に手伝ってもらうんで 恵里ちゃんは その人の所に行ってあげなさい。」
柴田「は?」
恵里「え? いいんですか?」
容子「私は?」
兼城「容子さんは ここに いて頂くだけで OK!」
恵里「じゃ そうさしてもらいます。」
一風館
ブルウマウンテン
恵里「おじぃ…。」
島田さんも 大変なのに つかまったようだねぇ。 こういう時の恵里は 手ごわいよ。 おばぁでも かなわんさ。 そして 皆様 見てやって下さい。 この恵里の 生き生きとした顔を。 いい顔を しているねぇ
翌日
(ノック)
恵里「島田さん! おはようございます!」
(ノック)
恵里「島田さん! 朝食ですよ! 島田さん!」
(ドアが開く)
島田「もう いいかげんに してくれよ。」
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