一風館
ハナ☎「恵里は おばぁの孫なんだから いい女さ。」
古波蔵家
ハナ「お母さんと代わろうね。」
勝子「もしもし 恵里。 おばぁの言うとおりさ。 恵里は お母さん似なんだから そんじょそこらの 東京の女には 負けない。 そうでしょ? 文ちゃん?」
恵文「はい そのとおりです。」
一風館
恵里「ありがとう うん… じゃ。」
古波蔵家
勝子「本当 何もしてあげられませんね 親なんて。」
恵文「そうだね つまらんね。」
ハナ「それでいいさ。 そうやって 恵里も 大人になっていくからね。」
一風館
恵達「なくなったの? スーパーボール。」
恵里「うん。」
恵達「よかったのでは? かえって。」
恵里「え?」
恵達「いつまでも引きずらないためにさ さっぱりするだろ? その方が。」
恵達「そんな顔されてもさ。 だから よかったんだって。 な?」
恵達「傷は 思ったより深いか…。」
それからの恵里の心は 糸が切れた凧のようでした
ゆがふ
皿を落とす恵里
恵里「あ! すみません!」
兼城「大丈夫? 手 切らないでよ。」
恵里「はい すみません。」
しっかりしなくてはと 自分では思っているのですが どうしても 心に力が 入らないのです
一風館
ダイニング
容子「恵達君!」
恵達「え?」
容子「ちょっといい? 見てられないんだよ 恵里ちゃん。」
恵達「はあ。」
容子「今のままの状態じゃ 看護婦なんて 無理なのでは?」
恵達「容子さん 余り 心配しない方が いいですよ。」
容子「そうかな?」
恵達「はい。 姉え姉えは 心配してた方が ばかばかしくなるほど いきなり復活しますからね。」
容子「『いきなり』?」
恵達「我が古波蔵家の女は 地球が 滅びても 生き残ると思うなぁ。 姉え姉えや お母さん おばぁは 絶対 生き残ると思うな。」
容子「はあ?」
恵達「ゴキブリなみの 生命力ですから。」
容子「え?」
恵達「すごいんですよ 沖縄のゴキブリは こんなに大きくて わ~っと!!」
容子「わ~!! やめて!」
恵達「『死んだかな』? と思うと 急に 飛んできます。 姉え姉えも一緒。 大丈夫ですって。」
容子「そうなんだ。」
恵達「しかも 訳の分からない事が きっかけになるんですよ。 周りが考えてやってもダメですよ。」
容子「ふ~ん。」