夕食
恵達「でもさ 何で 兄い兄いは あんななのかなぁ?」
恵里「あんなって?」
恵達「調子よくってさ 面白いんだけど 話 ほとんど ウソばっかりさ。 それに ほとんど 家にいないしさ どこで何やってるか さっぱり分からんしさ… 何で?」
恵文「何でかねぇ?」
恵里「お父さん似だよね 兄い兄いは…。」
恵達「そうだね。」
恵文「そうかねぇ。」
恵里「そうだよ ねぇ おばぁ?」
ハナ「そうかもしれんねぇ。」
恵達「いつだったかさぁ 俺が 小学校2年の時さ 『お前にだけ教えてやる』 とか 言ってよ 『小浜の大岳には恐竜がいる』 っていうわけよ。」
恵達「『見た』っていうんだよ兄い兄いが…。『もうすぐ新聞とかにも載るけど まだ 秘密なんだ』とか言ってさ。」
恵里「何じゃ? それ…。」
恵達「今思えば 『何じゃそれ』って話だけど 俺は 信じたわけさ。 そんで 我慢できなくなって 皆に話したら 笑われたさ 思いっきり…。」
恵里「そりゃ あんたが バカさ。」
恵達「何でよ。 しかも 俺はね 秘密を教えて もらうために 200円も払ったんだからね。」
恵里「やっぱり あんたが バカ。」
恵文「恵達 その話を恵尚から聞いた時 楽しかっただろ? ワクワクしただろ? ん?」
恵達「え? あ まあ うん そうかな。 興奮して 寝られなかった。」
恵文「じゃ 200円は 安いさぁ。」
恵里「ああ なるほどねぇ。」
恵達「まあ そういう考え方もあるかな。」
恵文「そうさ そう考えれば 楽しいさ。」
恵達「とか何とか言って こうやって話してると 兄い兄い ひょっこり帰ってくるかも…。」
恵里「そんな ドラマみたいな事 ある訳ないさぁ。」
ハナ「それは 分からんよぉ。 …におうねぇ。」
勝子「ヤダ おばぁったら…。」
恵里「そうだよ~。」
玄関の方で戸の開閉音がする
恵尚「ハイサイ 古波蔵家の諸君 元気だたかなぁ?!」
勝子「恵尚…。」
恵里「兄い兄い…。」