居間
恵尚「あれ? どうしたの? 皆 変な雰囲気だね。 そうそう 文也君も 真理亜さんも お酒 飲むでしょう? ね?」
真理亜「はい!」
恵文「そうだね 飲もうね パ~ッと飲んで 騒いでさ そして 寝ちゃうのがいいね。」
恵尚「そうさぁ それが 一番さ。 ハハハ。」
恵里「(せきばらい)」
恵尚「はあ…。」
真理亜「いや 今は いいです。」
恵尚「え? 何で?」
勝子「恵尚 お酒は 後でね。 話が終わってからにしようね。」
恵文「何でぇ? 飲もう 話なんか いいからさぁ。」
勝子「文ちゃん!」
恵里「あ あのさ…。」
恵文「そうだ そうだ。 タバコが なくなってるから 買ってこようねぇ。」
勝子「文ちゃん タバコなんて 吸わないでしょ?」
恵文「ああ そうだったかな。」
恵里「あのさ お父さん。」
恵文「あ そうだ そうだ。 あれを買いに行かなくては。 行ってこようね。]
ハナ「あれって 何ね?」
恵文「だから あれって あれさ。」
恵里「お父さん。」
勝子「恵文さん 座って下さい。」
恵文「だから あれがさぁ。」
ハナ「恵文 座りなさい。」
恵文「はい。」
勝子「ちゃんと 話 聞こうね 文ちゃん。」
恵尚「あれ? どうしたの? なんか あれだね 文也君 まるで『娘さんを 僕に ください』なんて 言いにきた青年みたいさ ハハハハ。」
恵里「兄い兄い…。」
真理亜「フフッ…。」
ハナ「(ため息)」
恵尚「あれ? なんか まずかった? 今の発言。」
勝子「もう 黙ってなさい あんたは。」
恵尚「はい すみません。」
勝子「恵里 何? 話って…。」
恵里「あのさ…。」
文也「僕から 話しても いいですか?」
勝子「うん。」
文也「実は…。」
島袋「こんばんは 島袋です~。」
恵尚「あ 正一だ!」
島袋「どうも どうも。」
ハナ「そんな気がしたさ 今。」
島袋「どうも 皆さん おそろいでね。 ありゃ 恵里ちゃんだね? 久しぶりさぁ 元気ね? あら 何? 東京やめて 戻ってきたの? あれ?」
ハナ「本当に 間の悪い男だね あんたは。」
島袋「は?」
恵尚「本当さぁ お前は 最悪よ。」
島袋「何がよ 恵尚。 それに『お前』は ないでしょ? 今は きみの務める島袋製作所の 社長なんだから『社長』と呼びなさい。」
恵尚「ふん 誰がよ。 あんな安い給料で こき使ってからに。 何が 社長…。」
恵文「いいから もう 座りなさい 島袋君。」