それからの恵里は 田所幸子さんという患者を 一生懸命 看護したのでございます
恵里「こちらを押して頂くと…。」
田所「分かったわよ!」
恵里は 自信があったのかもしれない。 島田さんを看病したように 心を尽くせば きっと通じると 思っていたのかもしれんね。 でも それは 難しいようでした
恵里「これで 楽になりました?」
田所「もう いい!」
カフェ
文也「大丈夫?」
恵里「やっぱり 難しいね。 全然 心 開いてくれないさ。」
文也「そうか大変だね 看護婦の仕事も。」
恵里「文也君は どう? 担当の患者さん。」
文也「うん 何とか やってるけど。」
恵里「そう すごいね。」
文也「あせるなよ おふくろが変な目標を 仕事に持ち込ませてるみたいで。」
恵里「ううん 結婚の事は別としても 私も早く 一人前になりたいし。」
文也「うん でもさ 恵里。」
恵里「はい。」
文也「忘れないか?」
恵里「忘れるって?」
文也「こうしてる時 仕事のことを忘れよう。」
恵里「うん。」
文也「あ 何 食べようか? と言っても まだ 給料日前だけど。」
恵里「そうだね。」
文也「早く 一人前の給料 欲しいな。」
恵里「もしかして 今は私の方が いっぱい もらってるかも?」
文也「え? そうかも?」
恵里「おごろうか?」
文也「は? 俺達 全然 貯金ないよね。」
恵里「そうだね。 なんくるないさ。」
文也「何とかなるか。」
恵里「うん。」