上村家
静子「ああ! そう ああ よかった…。」
恵里「はい。」
静子「心配してたのよ あんなこと 私 言いだしちゃって…。 一生 一人前にならなかったら どうしようかと思って。」
恵里「え? あ ハハハ。」
静子「よかった。」
恵里「はい ありがとうございます。」
静子「で? 具体的には? いつ 結婚式するの?」
文也「あ まだ そこまでは…。 これから 考えるよ。」
静子「そう。」
文也「何か 希望とか ある?」
静子「私? ないわよ 別に。 ただね…。」
文也「『ただ』?」
静子「私は 呼んでくれるのよね?」
文也「は?」
恵里「え?」
文也「ハハハ 当たり前でしょう まったく 何言ってんの。」
静子「そう? 最近は 友達同士で やっちゃったりする人もいるし。 でも なら いいの。 お願いね。」
恵里「頂きます。」
静子「はい。 …はい。」
恵里「あ そうだ。 あの お願いが あるんですけど。」
静子「何?」
恵里「今日 これから 和也君と お父さんの お墓参りに…。」
文也「え?」
恵里「少しでも早く報告したくて。」
静子「今から? 私 チョット 仕事で 出かけなくちゃならないけど。」
文也「俺も もうすぐ 病院へ行くんだ。」
恵里「私1人で 大丈夫です。」
文也「大丈夫? 恵里。 分かりにくいよ うちの お墓。」
恵里「大丈夫さぁ。」
お墓
恵里「うわ ホントに 分かりにくいねぇ。」
北栄総合病院
文也「大丈夫かなぁ…。」
お墓
恵里「和也君…。」
和也『恵里』
恵里「え?」
和也『恵里… 反対 そっちじゃないよ』
恵里「和也君?」
恵里「和也君…。」
和也『こっち』
恵里「和也君…。」
和也『ここだよ』
恵里「和也君…。」
98話へ