連続テレビ小説「あまちゃん」11回「おら、東京さ帰りたくねぇ」

スナック・梨明日

春子「友達って?」

夏「足立先生の娘さん。 山車見に行ぐから 遅ぐなるって。」

春子「大丈夫かな~。」

夏「何が?」

春子「いや 何となくさ…。」

勉「あの子は いい子だよ。」

春子「いい子だから 問題なのよ。 こっちで友達なんかできたらさ ますます 東京に帰りたくないって 言いだしそうでさ。」

夏「帰んなきゃいいべ。」

春子「え?」

夏「じゃ 戸締りだけ頼むど。 お先。 ごゆっくり!」

弥生「お疲れさま~!」

弥生「やっぱ寂しいんだよ 夏ばっぱ。」

春子「やめてよ 何 言ってんの…。」

山車作り

「お~い 休憩すっど~!」

一同「お~い!」

ユイ「ありがとう! うわっ あ~ 汚れちゃったね。」

アキ「ありがとう。」

今野「どうした アキちゃん。」

アキ「何でもね。」

今野「休むべ。」

ユイ「何 何?」

アキ「いや… この山車が 町を練り歩く頃には 東京さ いるんだなあって思ったら 何か悲しくなっちゃった。」

ユイ「そっか…。 アキちゃん見れないんだ。」

アキ「んだ。 秋祭りなのに。 アキは見れねえんだ。」

ユイ「でも いいな 東京。」

アキ「いいがなあ?」

ユイ「お台場とか行った事ある?」

アキ「ない。」

ユイ「ないの!? 原宿は?」

アキ「ない。」

ユイ「え~ 嘘! 何で?」

アキ「何でって 用事ねえしお ママが行っちゃ駄目って。」

ユイ「もったいないよ~。 原宿って 表と裏があるんでしょ? 芸能人って 大体裏に生息してるんでしょう? 吉祥寺って 住みたい街ナンバーワンなんでしょ?」

アキ「へえ~。」

ユイ「へえ~なんだ。」

<ユイの口から出てくるのは アキの知らない東京でした。 東京で生まれ育った アキには 見えない景色がある事を アキは ユイから教わりました。 という事は アキが見ている この町の風景も ユイには 見えてないのかもしれない。 きれいな海も かっこよく切り立った岩場も 田んぼの走る ローカル線の のどかさも ユイには見えていないんだ>

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