スナック・梨明日
春子「友達って?」
夏「足立先生の娘さん。 山車見に行ぐから 遅ぐなるって。」
春子「大丈夫かな~。」
夏「何が?」
春子「いや 何となくさ…。」
勉「あの子は いい子だよ。」
春子「いい子だから 問題なのよ。 こっちで友達なんかできたらさ ますます 東京に帰りたくないって 言いだしそうでさ。」
夏「帰んなきゃいいべ。」
春子「え?」
夏「じゃ 戸締りだけ頼むど。 お先。 ごゆっくり!」
弥生「お疲れさま~!」
弥生「やっぱ寂しいんだよ 夏ばっぱ。」
春子「やめてよ 何 言ってんの…。」
山車作り
「お~い 休憩すっど~!」
一同「お~い!」
ユイ「ありがとう! うわっ あ~ 汚れちゃったね。」
アキ「ありがとう。」
今野「どうした アキちゃん。」
アキ「何でもね。」
今野「休むべ。」
ユイ「何 何?」
アキ「いや… この山車が 町を練り歩く頃には 東京さ いるんだなあって思ったら 何か悲しくなっちゃった。」
ユイ「そっか…。 アキちゃん見れないんだ。」
アキ「んだ。 秋祭りなのに。 アキは見れねえんだ。」
ユイ「でも いいな 東京。」
アキ「いいがなあ?」
ユイ「お台場とか行った事ある?」
アキ「ない。」
ユイ「ないの!? 原宿は?」
アキ「ない。」
ユイ「え~ 嘘! 何で?」
アキ「何でって 用事ねえしお ママが行っちゃ駄目って。」
ユイ「もったいないよ~。 原宿って 表と裏があるんでしょ? 芸能人って 大体裏に生息してるんでしょう? 吉祥寺って 住みたい街ナンバーワンなんでしょ?」
アキ「へえ~。」
ユイ「へえ~なんだ。」
<ユイの口から出てくるのは アキの知らない東京でした。 東京で生まれ育った アキには 見えない景色がある事を アキは ユイから教わりました。 という事は アキが見ている この町の風景も ユイには 見えてないのかもしれない。 きれいな海も かっこよく切り立った岩場も 田んぼの走る ローカル線の のどかさも ユイには見えていないんだ>