病院
春子「大っ嫌いだったのよ 私。 あの歌『いつまでも夢を』。 毎年さ 海開きの朝には ほら 漁協の 音の割れたスピーカーから 聞こえてくるでしょう。」
回想
スピーカー♬~(『いつでも夢を』)
スピーカー・かつ枝『おはようございます。 本日は 7月1日 袖が浜海岸 海開きです』。
♬『いつでも夢を いつでも夢を』
回想終了
春子「うんざりすんのよね あれ 聞こえると! いい年した おばちゃんたちがさ 何 朝から はしゃいじゃってんのって。 アハハッ ごめんね。 ごめんね。 でも 今 聴いたら 多分 違うんだろうな。」
春子「夏さんがさ 橋 幸夫のファンだって 知ってたらさ ちょっと ニヤニヤしながら 聴けたような気がするの。 何か そういうの いっぱいあるんだろうなと 思ったら 何か 悔しくなってきちゃった。 どうしよう…。 もし このまま目覚めなかったら 私 夏さんの事 知らな過ぎて 泣けないわ。 情報量 少なすぎて 涙も出ないわ。」
弥生♬『星よりひそかに 雨よりやさしく』
春子「え?」
♬『あの娘は いつも』
春子「ちょ ちょ ちょ… ここ病院だから うるさいと いけない…。」
弥生「春ちゃんも一緒に歌うべ!」
春子「知らないし。 今 嫌いだって言ったじゃん。」
弥生「んじゃ ユイちゃん!」
春子「ユイちゃんも知らないから…。」
ユイ♬『声がきこえる』
春子「じぇじぇ。」
♬『淋しい胸に 涙に濡れた この胸に』
東京EDOシアター
荒巻「はい ありがとう。」
「ありがとうございました。」
荒巻「次。」
アキ『母ちゃん 親孝行できなくて ごめんなさい!』。
病院
♬『言っているいる お待ちなさいな いつでも夢を』
ユイ「ねえ 見て!」