連続テレビ小説「あまちゃん」124回「おらたちの大逆転」

黒川家

種市「ここが 事務所?」

アキ「んだ! あっちが おらの部屋。」

種市「ふ~ん。 生まれた時から ここに?」

アキ「いや おらが8歳の時 パパが ローン組んで 買ったそうです。」

種市「へえ~!」

アキ「その前は団地です。 何か飲みますか?」

種市「ああ じゃ ビール。」

アキ「じぇ! そうか 先輩もう二十歳か。」

種市「あ その前に シャワー借りていいか?」

アキ「じぇじぇ!」

種市「あ ごめん! あの ずうずうしいよな。 あの最近 卵ずっと 焼いてるからさ 汗かくんだよ。 シャワー浴びねえと 気持ち悪くて。」

アキ「どうぞ!」

種市「あ いいのか? じゃ 借りるわ。」

アキ「タオル 出しておきますんで。 着替えは?」

種市「あ 持ってる。」

<うわ~ うわ~ 先輩! いきなり お風呂って もしかして 先輩… うわ~ もう『うわ~』しか 出てこねえ>

(電話の呼び鈴)

アキ「もしもし。」

電話・春子『ママだけど。」

アキ「うわ~!」

天野家

春子「『うわ~』って? 元気?」

電話・アキ『な… な 何の用だ?』

春子「あんたに用じゃないよ。 事務所の留守電 聞こうと思っただけ。」

黒川家

アキ「じゃ 出なきゃよかったのか?」

天野家

春子「もう遅いけどね。 で… どうだったの? 2次審査。」

黒川家

アキ「う~んまあまあかな。」

(風呂の扉が開く音)

アキ「じぇじぇ!」

種市「あ! ごめん。 どっちがシャンプーで どっちがリンスかな?」

アキ「泡が出ない方が リンスだ。」

種市「あ…。」

アキ「もしもし!」

天野家

春子「誰かいるの?」

黒川家

アキ「あ うん 水口さん。」

天野家

春子「ああ そう。 遅くまで 御苦労さま~!」

黒川家

アキ「『御苦労さま~』だって。」

電話・春子『じゃあね おやすみ!」

アキ「(ため息)」

黒川家

回想

夏「あ~!」

回想終了

<この家で 一人で暮らしている 夏ばっぱの姿を なぜかママは 想像しました>

春子♬『星よりひそかに 雨よりやさしく』

<来る者は拒まず 去る者は追わず 強がって生きてきた 母の日常。『もう一度 夏さんに この風景を 見せてあげなくちゃ』。 そう心に誓うママなのでした。 まさか娘が 部屋に男を 連れ込んでいるとは知らず>

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