連続テレビ小説「あまちゃん」127回「おらとママの潮騒のメモリー」

<映画というのは 頭から順番に 撮影する訳ではありません。 2日目だというのに 今日は いぎなり クライマックスの撮影です>

「監督 お願いします。」

荒巻「用意… スタート!」

(カチンコの音)

アキ『母ちゃん!』。

鈴鹿『アキ…』。」

アキ『母ちゃん…』。

鈴鹿『来てくれたのか』。」

アキ『うん』。

アキ『でも すぐ行がねえと 連絡船が出るんだ』。

鈴鹿『あの男と一緒に行ぐのか?』。

アキ『おら 一人で生きていく。 母ちゃんのように強(つえ)え女になる』。

鈴鹿『そうか…』。

アキ『母ちゃん 親孝行できなくて ごめんなさい』。

荒巻「う~ん… おっ… けぃ。」

鈴鹿「駄目ね。 もう一回やりましょう。」

荒巻「鈴鹿さん 監督がOK出してるんですから。」

鈴鹿「そんな 考え考え出た OKじゃ駄目よ。 もう一回。」

アキ「すいません。」

鈴鹿「ねえ アキ オーディションの時の事 覚えてる?」

回想

アキ『母ちゃん 親孝行できなくて ごめんなさい!』。

回想終了

アキ「はい。 1次審査の時ですよね。」

鈴鹿「そう。 あれが よかったの。 逆に言えば 2次 最終 今日の本番って 下がってる訳。 分かる?」

アキ「はい。」

荒巻「じゃあ もうワンテイクいきますか。」

「はい。 じゃあ もう一本 いきます。」

一同「はい。」

<それに関しては 思い当たる節がありました。 だって あん時は…>

回想

大吉「ばっぱ! 夏ばっぱ! 夏さん!

アキ「おらも行ぐ!」

春子「アキ!」

アキ「夏ばっぱのそばに いでえ。 おらも帰る!」

回想終了

「スタンバイ中で~す。」

水口「要するに おばあちゃんの容体を 心配してたから 素直に言えたんだね。」

アキ「でも もう だいぶ よくなったがら。」

天野家

春子「何してんの?」

夏「何って おめえ 内職だ。 エビの殻むき。」

春子「もう やめてよ~。」

夏「寝てばっかりで退屈だ。 指先は動くんだから。」

春子「駄目!」

夏「あ~ もう 暇だ 暇だ 暇だ! 何でもいいがら 仕事けろ~!」

春子「駄目~!」

夏「いつまで いるんだ? 春子さんよ。」

無頼鮨

<そのあと 何度も チャレンジしたのですが 結局 この日は うまくいかず…>

鈴鹿「はあ!? おばあちゃん元気だと 芝居できないって事?」

アキ「…すいません。」

鈴鹿「ホントよ あんた。 NG連発したあげく 後日にしましょうってさ 普通だったら クビよ チェンジ! チェンジよ!」

<撮影が終わると反省会 連日です。 でも 実は それほどつらくありません>

鈴鹿「壁があるのよね 何か カメラの前に立つと…。」

アキ「そうがなあ…。」

鈴鹿「今は ないわよ。 今の方が いい表情してんじゃない。 何で現場で それが出ないかな。 うん? 分かった。 一緒に暮らしましょう!」

アキ「え?」

鈴鹿「私生活でも 母と子になりましょう! 壁 取っ払いましょう。 何だったら 今日から一緒に住む?」

アキ「い… いいのが?」

鈴鹿「もちろんよ! ねえねえ よくない? 水口君!」

水口「はあ…。」

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