あらすじ
吉田屋で客の同情を買って、まんまと集金に成功した糸子(二宮星)。父・善作(小林薫)に喜ばれて有頂天になるが、善作は女である糸子に商売を仕込む気はなかった。正月、糸子は妹たちとともに母・千代(麻生祐未)の実家へ挨拶に行く。千代は善作に代わり、祖父・清三郎(宝田明)に借金を申し込む。一方、糸子はいとこに誘われ、近所の洋館での外国人の舞踏会をのぞく。夢のように美しいドレスに我を忘れてみとれる糸子だった。
3回ネタバレ
小原家
居間
善作「吉田屋ちゅう料理屋や。 あっこの親父は 手ごわいど。 お前 よっぽど ここを使ていけよ。」
糸子「うん… 分かった。」
吉田屋
勝手口
糸子「おっちゃ~ん!」
奈津「何 言うてんねん。 子供の使いやんか。」
糸子「おっちゃん! うわっ!」
奈津「うっさい うっさい。」
玄関
「今日は 何 うまいもん 食わしてもらおうかの?」
「そろそろ まったけが 出る頃ちゃうけ?」
「ああ ええのう!」
「おっ? 何や 嬢ちゃん どないしたんや?」
「はよ 帰らな 家の人 心配するぞ。」
糸子「へえ お金 払てもらえるの 待ってますねん。」
「何や 集金け。」
「ちっさい子が 御苦労なこっちゃのう。」
糸子「お金 持って帰らんと うち 今晩 御飯 抜きですねん!」
「大将 払いよらへんのかいな?」
糸子「『今日は ないさかい また明日 おいで』って言われましてん。」
「かなわんな おっさん! もうけとるくせしやがって もう。」
「おい 大将!」
吉田克一「ああ いらっしゃいませ! お待ちしとりました。 さあ どうぞ どうぞ。」
「大将! 何ぼか知らんけど 払ちゃりや。」
克一「えっ? あ… へえ。 何や さっき来た子やないか。 何や おっちゃん 『また 明日 払う』ちゅうたやろ?」
「今日 払うちゃらな 家で 飯 抜かれるらしいで。」
克一「まあ とにかく 中へ どうぞ どうぞ!」
「大将! ほんまに払ちゃらな あかんで。 こんな小さい子 かわいそうやし。」
克一「ああ 分かってます。 なあ! あんたな 裏 回りや。 さあ どうぞ どうぞ! さあ さあ さあ! さあ どうぞ どうぞ! ハハハッ。 そんなとこ おられたら 商売の 邪魔になって かなわんな。 ふん! さあ どうぞ お上がり下さい。」
糸子「へえ 確かに。」
志津「あんた おとうちゃんより よっぽど商売上手やな。」
糸子「おおきに!」
「おねえさ~ん こんばんは~!」
「こんばんは!」
志津「こんばんは! もう 遅いやん。 さっきから 村上さんら えらい 首 長うして お待ちやで。 はい! はよ帰り!」