連続テレビ小説「あまちゃん」131回「おらとママの潮騒のメモリー」

荒巻「止めて下さい。」

鈴鹿「どうして 今更?」

荒巻「分かりません。 だまし通す事もできましたし 鈴鹿さんが だまされ続ける事を 覚悟していた事も知っています。 だから 墓場まで持っていこうと 思っていました。 この子に会うまでは。」

アキ「じぇ。 お… おらが?」

荒巻「そうだよ。 お前が 天野をスカウトして 俺に会わせるから こういう事になったんだ。」

水口「あっ すいません。」

荒巻「『あっ すいません』って もうちょっと 声張れよ。」

水口「すいません。 …っていうか 鈴鹿さんは知ってたんですか?」

アキ「知ってましたよね。」

回想

鈴鹿「すてきな声だわ。」

春子「え?」

鈴鹿「私と似てる気がする 声が ねえ 天野さん 似てるわよね。」

春子「似てませんよ。」

鈴鹿「似てるわよ!」

春子「似てないと思いますけど。」

回想終了

アキ「いつからですか?」

鈴鹿「いつ? いつかしら…。 ず~っと前のような気もするし…。 今のような気もするし。」

(ドアが開く音)

鈴鹿「あっ! フフフッ 私だ~。 ごめんなさいね。 私のせいで 表舞台に 出られなかったんですよね。 ごめんなさい。」

春子「やめて下さい。 そんなんじゃないですから。」

荒巻「俺が 君に声をかけなければ…。」

回想

荒巻「歌ってくれないかな? 鈴鹿ひろ美の代わりに。」

春子「私の声が レコードになるんですか?」

荒巻「そう。」

春子「鈴鹿ひろ美の名前で?」

回想終了

荒巻「申し訳ない 春ちゃん。」

春子「歌いなさい アキ。」

アキ「え?」

春子「ママ 歌ったよ。 今度 あんたの番でしょ。 早く。」

アキ「…うん。」

♬~(『潮騒のメモリー』)

アキ♬『来てよ その火を 飛び越えて 砂に書いた アイ ミス ユー 置いていくのね さよならも言わずに 再び 会うため 約束もしないで 北へ行くのね ここも北なのに』

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