鈴鹿「どうかしら?」
一同「…。」
鈴鹿「駄目か…。」
荒巻「駄目じゃないよ。 全然 駄目じゃないよ。 伝わるものは あったよね。 ねっ ねっ?」
黒川「いや 僕は 素人なんで…。」
荒巻「ほ~ら 笑った! 笑顔を取り戻した! 確かに 音程は 移ろいやすかったけども その 移ろいが味になってたし 誰も こんなふうに歌えないよ。 駄目だ! 全然 褒めてない。」
春子「いつから? その… ボイストレーナー。」
鈴鹿「去年の夏から…。」
春子「すぐ クビにした方がいい。 お金 もったいない! 私が やります!」
黒川「え!?」
春子「私が歌唱指導します。 鈴鹿さんの。」
荒巻「え? じゃあ… えっ!?」
黒川「やるの!? リサイタル。」
春子「やりましょ!」
鈴鹿「フフフフッ!」
北三陸駅
アキ「じぇ 吉田さん 何これ?」
吉田「今朝 いきなり届いたんだよ。 30枚!」
アキ「『チャリティーリサイタル』。 歌うのか!?」
吉田「場所と日時は未定なんだって。 駅長が 今 春子さんとしゃべってるけど!」
大吉「そりゃあ こっちとしては 是非 来てもらいてえが いかんせん 会場が…。 いや~ 公民館じゃ 味気ねえべ。」
大吉「…とはいえ 市民ホールは 震災後 復旧してねえし。 あっ 鈴鹿ひろ美の希望は? え? あ あ… 海女カフェで!?」
アキ「じぇじぇじぇ!」