北三陸駅
ヒロシ「熱心だね。」
アキ「うわ!」
ヒロシ「潜水土木科に 編入したんだってね。 ユイから聞いたよ。」
アキ「はい。 あの ストーブさん おら 勉強に集中したいんで。」
ヒロシ「その後どうかな。」
アキ「どうって?」
ヒロシ「え? 忘れたの。」
回想
ヒロシ「好きなんだ! アキちゃんの事が好きなんだ。」
回想終了
アキ「覚えてますけど 断片的に。」
ヒロシ「で… そろそろ 答えが 聞きたいなと思って。 あの これ ユイに『直接渡せ』って 言われちゃってさ。 読んでもらえないかな。」
アキ「今ですか?」
ヒロシ「うん。 この間は 何か ほら アキちゃん テンパってて。」
回想
アキ「脳みそ使っちゃ 駄目なんです。 考えちゃ駄目なんです。 酸素使っちゃ 駄目なんです。」
ヒロシ「アキちゃん!」
アキ「じぇじぇじぇ!」
回想終了
アキ「だって 本気獲りの 前の日だったから 潜る時は 脳みそ使っちゃ 駄目なんです。」
ヒロシ「ねえ ちょっと アキちゃん!」
アキ「…ていうか ストーブさんって 間が悪いですよね 何か!」
ヒロシ「ごめん。」
アキ「すいません。」
ヒロシ「ね ね! ねえ! どうかな?」
アキ「今は 勉強に集中したいので。 すいません。」
<そう答えるのが 精いっぱいでした。『ほかに好きな人がいる』なんて 言ったら ストーブさんは また ストーブのそばから 離れられなくなってしまう。 案の定 その夜は 眠れませんでした>
天野家
アキ「ウニ 1匹 ウニ 2匹 ウニ 3匹…。(うなされる声) あ! ああ もうストーブ!」
(犬のほえる声)
アキ「うん あ…。 ママ まだか。 うん? ばっぱ! ねえ ばっぱ! ばっぱ ばっぱ ばっぱ!」
夏「うるせえなあ。」
アキ「おじいちゃんの写真が ないよ。 おじいちゃんの写真 仏壇に あったよね? ないよ。」
夏「片づけた。」
アキ「片づけた? 何で?」
夏「もう何だよ こんな夜中に。 さっさと寝ろ わらす。 あ~。」
<『怪しい」。直感的に アキは 感じました。 そして数日後>