連続テレビ小説「あまちゃん」32回「おらのじっちゃん、大暴れ」

喫茶リアス

アキ「こんにちは! おじいちゃんは?」

忠兵衛「おう ここだ。」

アキ「ばっぱ 今日は 2人で どこさ行ってきたの?」

夏「どこって… 定番のデートコースだべっちゃ。」

忠兵衛「ブティック今野で服買ってや 千春食堂で飯食ってや それから え~ たつや?」

吉田「DVD借りてきたんだとさ。」

夏「何だっけ? ほら『グラン・ブルー』?」

忠兵衛「おう。」

吉田「海が好きなんですね。」

アキ「アキも見たい!」

夏「駄目だ! 2人で見るんだから。 ガキは寝ろ!」

忠兵衛「いつの間にか 映画館潰れてしまったもんなあ。」

アキ「じぇ! 映画館なんて どこにあったの?」

ヒロシ「ブティック今野の1本奥。 随分 昔ですよね。」

吉田「30年前の話だね 勉さん。」

忠兵衛「町で アキのポスター見たど 海女さんの! 人気あんだな~!」

ヒロシ「観光協会の あの これ 僕が デザインしたんですけど…。」

忠兵衛「へえ~!」

夏「アハハハッ!」

忠兵衛「夏ちゃんも ポスターのモデルやってたべ。」

夏「あ~!」

アキ「ばっぱが!?」

夏「この人にとっちゃ 昨日の事さ。 何しろ 年に10日しか 岡にいねえんだもん。」

ヒロシ「結婚して 何年ですか?」

夏「44年でがす。」

ヒロシ「念に10日… まだ 440日しか 一緒に暮らしてねえんだ。」

夏「んだ。 まだ1年半でがす。」

ヒロシ「アキ おらと ばっぱのなれ初め 知ってっか?」

アキ「ばっぱが おっぱい丸出しで 海女やってたら じいちゃん 漁協さ どなり込んだんだべ。」

回想

忠兵衛「組合長 出てこい!」

「何が悲しくて 嫁ごの乳さ 見せ物にせねば なんねえってよ。」

一同「んだ んだ んだ!」

忠兵衛「おらんだ 年中 漁さ出てらんだど。 見てえったって 見れねんだど! なして 観光客さ 見せねばなんねえのよ!」

回想終了

夏「それは 結婚さ踏み切った エピソードだべ。」

忠兵衛「大体 何で そんなの知ってんだ?」

夏「おらと忠さんはな 海ん中で出会ったんだ。」

アキ「海ん中…。」

忠兵衛「高校出て すぐ 海さ潜って ウニ取ってる 夏ちゃん見つけで『こりゃあ ヘルメットかぶってる 場合じゃねえべ』って外して 声かけたんだ。」

夏「そのあと この人 すぐ マグロ船さ乗って 行っちゃうんだもん。 だまされたようなもんだ。」

忠兵衛「やっぱり男は広い海さ出ねえとな。」

夏「結納だの 結婚式だの この人いなかったんだよ。」

アキ「じぇじぇじぇ!」

夏「戸籍上の やり取りだけで おら 旦那もいない うちさ 嫁いできたんだ。」

アキ「へえ~ 何か いいな~。」

ヒロシ「いいかな…。 年に10日だよ?」

アキ「その分 いつまでも新鮮なんだよ。 おじいちゃん おばあちゃんになっても 恋人同士みたいに 仲いいのは 海のおかげだべ。 パパとママが 今 別々に暮らしてるのも そういう事なのかな…。」

東京

黒川「ああ こっちは変わりないよ。 この間さ インターネットで『北三陸』って入力したら アキの写真が出てきたんだよ。 全然 知らなかった。 すごい人気だね。」

春子「…っていうかさ ネットで娘の画像見て ニヤニヤしてんでしょ? 情けない。」

黒川「えっ? してないよ。」

春子「分かるわよ それくらい。 見なくても。 ねえ ほかの楽しみないの?」

黒川「いや あるけど。 誕生日もうすぐ。」

春子「うん 壇上美? 誰の? ああ アキの? それが どうしたの?」

黒川「いやいや いやいや…。」

春子「来ないでよ! やめてよ…。 何しに来んのよ。」

黒川「親だから決まってるだろ。 電話もメールも我慢してんだよ! せめて 誕生日ぐらい… え? お父さんって…。 えっ!? あっ 生きてたの? あっ よかったね! じゃあ 御挨拶に…。」

春子「いや 何で来んのよ! やめてよ。 あんたさ 気を許すと すぐ こっち来ようとするよね。 やめてよ! もう別れたんだから。」

黒川「まだ 紙の上では夫婦だろ?」

春子「紙の上でしか もう夫婦じゃないのよ。」

黒川「うっ う~…。」

春子「泣くな!」

春子「…泣いてない!」

(クラクション)

天野家
居間

春子「この際だから 言っておきますけどね アキ 潜水士の資格取って 地元で就職するって。 あんたの出る幕なんか ないから。」

(携帯の切れる音)

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