連続テレビ小説「あまちゃん」61回「おら、アイドルになりてぇ!」

大吉「春ちゃんはな 1年前まで 東京で暮らしてたんだぞ!」

水口「知ってます。」

春子「え?」

水口「歌手を目指してたんですよね。」

春子「え?」

水口「そういう親が 一番 やっかいだっていうのも スカウトマンの常識です。 反面 自分の かなえられなかった夢を 娘の託そうとする母親も 多いので 味方につければ心強いって…。」

春子「敵よ あんたなんか! 敵! 天敵! 何なの 知ったような事 言って! あの人 何!?」

アキ「落ち着いてけろ ママ!」

水口「あ~ いや でも どっちみち アキちゃんは 本人が 乗り気じゃないという事で ユイちゃんだけでも オーディション受けてもらおうと…。」

春子「えっ 何? オーディション!?」

水口「はい。 全国のご当地アイドルを 一堂に会した新ユニット GMT47のオーディションです。」

夏「ああ 駄目だ。 ついていけねえ。」

弥生「夏ばっぱ 諦めるのは まだ早いぞ!」

水口「『地方から 日本を元気にしよう』というのが コンセプトで 47都道府県の ご当地アイドルを集めた まあ いわば アイドルの甲子園ですね。」

弥生「(あくび) 終わったら 起こしてけろ。」

かつ枝「おらも 完全に迷子だ…。」

夏「大吉っつぁん おめえ 分かるか?」

大吉「まあ 大体 アウトラインは つかめた。」

一同「お~!」

大吉「だが いいか ミズタク よ~く聞け! ユイちゃんはな この北三陸の救世主なんだ。 分かるか!? 産業も 観光も 100円ショップもねえ この町の 廃線寸前のローカル線を 普通の女子高生が 復活させたんだ!」

弥生「いいぞ いいぞ 大吉!」

大吉「何が『日本を元気に』だ。」

吉田「こちとら 25年間 ず~っと 元気ねえど!」

菅原「2人のおかげで やっと 人並だぞ! 病み上がりだ! ユイちゃんの代わりは いねえ。」

大吉「ユイちゃんの代わりは いねえ。 誰にも務まんねえ! どうしても欲しかったら 刺し違える覚悟で来い!」

かつ枝「お~ よく言った!」

(拍手)

ユイ「私の気持ちは どうでもいいんですか!?」

大吉「え?」

ユイ「私の東京に 行きたいっていう気持ちとか アイドルになりたいっていう 子どもの頃からの夢とかは 聞いてもらえないんですか。 そんなに 町おこしが大事なんですか?」

春子「ユイちゃん…。」

ユイ「だから 嫌だったんです。 ミス北鉄なんて…。 こういう事になるの 分かってたから。 私 北鉄が どうなろうと 町が どうなろうと どうでもいい。 関係ない!」

ヒロシ「ユイ そのぐらいにしておけ。」

ユイ「だって 本当の事だもん! もちろん 皆さんの事 好きだし 田舎を バカにしてる訳じゃないけど…。 でも これ以上 犠牲になるのは嫌。 こんな所で 一生を終えるなんて ありえない!」

ヒロシ「ユイ!」

アキ「ユイちゃん!?」

よしえ「ホントに もう お騒がせして すいません! ユイ!」

功「大吉君… すまん!」

大吉「こっちこそ いつまでも ユイちゃんに頼ってしまって…。」

功「いやいや それは違うよ 大吉君! みんなの郷土愛が 北鉄愛が その象徴として ユイや アキちゃんが いるんだから 誇りを持ってくれ! なっ! みんな すまん…。 ありがとう!」

夏「さあ そろそろ 海女クラブも退散すっか。 美寿々 行くぞ 美寿々。」

夏「かっこよかったぞ。」

春子「え?」

夏「『うちら 田舎の人間を バカにすんな』。 おめえが言うとは思わながった。」

春子「やめてよ。 違うから えっと…。」

夏「帰るぞ。」

春子「違… あっ。」

夏「おい 美寿々。 はいはい。」

<この晩の出来事は 人々の心に深い爪痕を残しました>

<ユイは部屋の籠もったきり  外へ出なくなってしまいました>

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