海女カフェ
かつ枝「何だ おめえ まだ いたのか。」
水口「今日 帰ります。」
弥生「美寿々なら 浜だ。」
かつ枝「行ってみるか?」
水口「いえ…。 くれぐれも よろしく お伝え下さい。」
アキ「車ですか?」
水口「北鉄で。 裏切っちゃったからね。 最後ぐらい乗らないと。」
アキ「ユイちゃんの事 よろしく頼むぞ。 ホントに約束だぞ!」
北三陸駅
勉「合わせる顔が ねえだろうから 誰も呼ばなかった。」
水口「はい ご迷惑をおかけして すいません。」
勉「これ 持ってけ。」
水口「いや これは受け取れませんよ。」
勉「持ってけ! こんなもの 元は ただの樹液だべ。 磨いて磨いて やっと価値が出る。 お前の仕事も そんだべ? どんな いい原石もよ 磨かねがったら 宝石にはなんねえ。」
水口「ああ…。」
勉「『ああ…』って 分かったのか?」
水口「あっ 時間ないし。 すいません。」
美寿々「タクちゃん!」
勉「た… たくちゃん?」
美寿々「行っちゃうの? 私の事 置いていっちゃうの?」
美寿々「ごめん。 ウニ取ってたから…。」
水口「あ… あの 美寿々さん 何て言ったらいいか。」
美寿々「よし! もう吹っ切れた。 若(わけ)え頃なら この勢いで駆け落ちもしたけど もう そんな無駄な事は しねえ。 次だ 次。 ありがとう。 楽しがった。 じゃあな。」
水口「かっこいい…。」
<水口は 東京へ帰っていきました>
<アキとの約束を 彼は かなえてくれるのでしょうか>
勉「あの野郎! 忘れていきやがった!」