喫茶・リアス
春子「ほら あばずれの食いもんだよ。」
春子「昔のドラマや 映画の不良はさ みんな ナポリタン食べるんだよね。 粉チーズかけてさ。 ほら いいから 食べなよ。 唇 テッカテカにしてさ。 フッ あんた見てると 昔の自分 見てるみたいだわ。 つうか 何それ? えっ? ブリーチ? 脱色? これ?」
ユイ「…。」
春子「警察 電話してもいいんだよ。 それとも アキに電話しよっか? そっちの方が嫌なんだ。 そっか そっか 警察より アキの方が嫌か。」
ユイ「何なんですか?」
春子「おっ! やっと 声 出した。」
ユイ「ほっといて下さい。 誰にも迷惑かけてないし。」
春子「ハハハッ『東京行く!』って 大騒ぎしたくせに?」
ユイ「大人が勝手に騒いだんじゃん。」
春子「まっ どっちでもいいけど。 一つだけ約束して。 お母さんの事 恨んじゃ駄目だよ。 お母さんの家出と あんたの脱色は無関係。 行きたきゃ行きゃいいじゃん 東京に! どうせ 学校行ってないんでしょ? お父さんの世話も してないんでしょ?」
ユイ「…。」
春子「何? そんで 昼間プラプラして 万引きして 夜は 先輩の車で スピード違反してんでしょ? だったら 行きゃいいじゃん! こんな田舎で くすぶってないでさ。 親のせいで 夢 諦めたとか 誰も同情しないからね。」
ユイ「…今更。」
春子「今更?」
ユイ「今更 行っても しょうがないじゃないすか。 だって もう 18ですよ。 二十歳までに デビューできんのかって 話じゃないすか。」
春子「…だよねえ。 アキより後れて スタートするなんて プライドが許さないよね。」
ユイ「プライドなんか はなっから ないすけど。 熱 冷めちゃったんです 何か。 芸能界とか アイドルとか 言ってた自分が ださいなって。 ほら 東京行ったって ださい奴(やつ)は ださいまんまじゃないすか。 キャラ作って 男に媚(こび)売って 超ださいじゃないすか。」
春子「アキも?:
ユイ「…まあ そうっすね。」
春子「やっぱ 電話しよう。」
ユイ「は?」
春子「もしもし アキ? うん。 今さ リアスに ユイちゃん来てんだわ。 あんたの事 ださいって。 アイドルなんか ださくて しょうがな…。」
ユイ「…。」
春子「プライドあんじゃん。 かっこつけてんじゃねえよ 18の小娘が。」
春子「今だよ。」
大吉「今?」
春子「慰めてやんなよ。」
勉「ユ…。」
勉「チーズ… かける?」
テレビ局
『おめでた弁護士』撮影スタジオ
鈴鹿「『異議を… 申し立てます。 ああっ! あっ! ああ…。 ああっ!』。」
『カット!』。
『はい カットです!』。
鈴鹿『ちょっと 天野さ~ん!?』。
アキ「は… はい!」
廊下
鈴鹿「見てた? 今のラストカット。」
アキ「はい。」
鈴鹿「また アップよ? ちゃんちゃら おかしい。 大体 何よ『おめでた弁護士』って。 毎回 法廷で産気づくのよ! えっ?『パート14』。 いつ そんなに産んだの?」
AD「おめでたさんから 手作りクッキー差し入れ頂きました。」
一同「ありがとうございま~す!」
鈴鹿「『おめでたさん』じゃないし…。」