台所 久志とまさ
久志「よし… よいしょ。」
まさ「ありがとね。 助かった。」
久志「お安い御用です。 よいしょ。」
まさ「ひさしぶりに大勢集まって うれしいわ。 裕一にも こんないいお友達いたのね。」
久志「裕一君といると ほっとするんです。 僕たちの癒しです。」
まさ「癒し? フフッ。」
久志「東京でも みんなで助け合ってるんで どうぞ ご心配なく。」
まさ「ありがとう。 これからも よろしくお願いします。」
久志「よろしくお願いします。」
庭 裕一 昌子 憲太
裕一「上から下ろして 左に…。」
憲太「出来た!」
裕一「そう 出来た 出来た。」
憲太「フフフフ…。」
裕一「憲太君 5歳ですか。 大きくなりましたね。」
昌子「うそみたいよね~ 私たちが 親になってるなんて。」
裕一「本当ですよ。」
昌子「懐かしいわね。 銀行いた頃。 ダンスホールの事件とか いろいろあったよね。」
裕一「ハハハ…。 ありましたね。 あっ 上手!」
憲太「う~ん!出来た!」
昌子「アハハハ…。 あのころから ずっと… もっと前から 裕一君のそばには音楽があったのよね。」
裕一「まあ 本当に 小学校の時に藤堂先生が ハーモニカ薦めてくれなかったら 僕の人生 全然違うもんになってたと思います。」
昌子「そうね…。 私も 子どもに音楽教えてるあの人が 1番好きなんだけどね。」
藤堂と鉄男
鉄男「先生… すみませんでした。 ずっと謝んなくちゃと思ってました。 先生が紹介してくれた新聞社 相談もせずに辞めてしまって。」
藤堂「ああ… そんなの気にするな。 好きなことをやればいいんだ。」
鉄男「こんな自分が 道 踏み外さず なんとか生きてこられたのも 先生のおかげです。」
藤堂「…で どうした?」
鉄男「えっ?」
藤堂「いや 何か… 話を聞いてやってほしいって 古山が。」
鉄男「そういうことか…。」
藤堂「まあ別に話さなくてもいい。 こうして会えただけで俺はうれしいよ。」
鉄男「陸軍から受けた仕事で… 6回連続不採用。 あげくの果てにクビになりました。」
藤堂「そりゃ… しんどいな。」
鉄男「裕一は 諦めず 一緒にやろうって 言ってくれてますけど…。 愛馬精神とか戦意高揚って言われても どうしても気持ち乗せられなくて。」