連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第143話「人生は活動写真のように」

喜子「構想60年って なかなかないよね?」

修平「ヘヘヘ! これが スクリーンに かかったら ご婦人方の紅涙を絞る事 間違いなしだ。」

喜子「ふ~ん。 お父ちゃんが 漫画家に なったのって やっぱり おじいちゃんの 影響もあるよね?」

修平「うちは 芸術を好む者と 変わり者が ようけ 出とる家系だけん 茂は その両方を受け継いどるな。」

喜子「フフフ! ほんとだね。 でもなあ。」

修平「ん?」

喜子「私は 何も受け継いでないなって。 私は 絵も下手だし作文も苦手。 お父ちゃんに似てるのは 朝寝坊なとこだけ。」

修平「どげしたんだ?」

喜子「来年 高校卒業だし この先 どうしようかなって。 勉強もできないから いい大学にも入れないし。」

修平「好きな事を やったらええがな。」

喜子「うん。」

修平「そげに 深刻にならんでもええ。 人の一生なんてものは よっぽど うまくやったところで 結局は 雲のように 流れ去ってしまうもんだけんな。」

喜子「雲?」

修平「ああ 『人生は 流れる雲の如し』。 ああ 今のセリフに使えるな! おい 麦茶でもいれてくれ!」

喜子「は~い!」

修平「雲か…。 これは いい例えだ。 雲の如し…。 『流れる雲の如し』 か。」

喜子「『好きな事をやれ』…。 そうもいかないから 悩んでるんだけどな。」

客間

(セミの鳴き声)

茂「ああ 苦しい!」

喜子「お父ちゃん 大丈夫?」

茂「もういかん 水くれ 水!」

喜子「水ね。」

茂「(荒い息)」

両親の部屋

絹代「しげさんが 酔っ払った?」

布美枝「皆さん 仲人さんも一杯って つぎにみえられるもんですけん。」

修平「つがれるままに飲んだのか?」

絹代「だけん しっかり見張っとるようにと 頼んだでしょう!」

布美枝「すんません。 間に新郎新婦が おりますけんね よう 見えんだったんです。 気づいた時には もう何杯も 飲んでしまって。」

絹代「まあ!」

布美枝「無理せんで下さいって 言ったんですよ。 けど 断ったら悪いって言って きかんのですけん。」

絹代「それで どげなったのか?」

布美枝「披露宴の間は なんとか 我慢しとったんですけど お開きになった途端 ひっくり返ってしまって。」

絹代「あら まあ!」

修平「茂の奴 自分の結婚式と 同じ事しとるだないか!」

布美枝「ああ そげでしたね!」

回想

茂「水くれ 気持ち悪い!」

回想終了

絹代「ほんとに あの日は さんざんだったわ! しげさんは 大きな音で おならをするし。」

布美枝「はい。」

絹代「お父さんは おならの講釈 始めるし。」

布美枝「ええ。」

回想

修平「今の音色は 空に輪を描く トンビの 一声といったとこですかな ワハハ!」

回想終了

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